レンタルビデオ店員「三密、守れるはずない」窮状 客は倍増、出勤拒否の動きも...

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   新型コロナウイルスの中でも働く人の中で、「私たちの状況を取り上げてほしい、取材してほしい」人はいますか――J-CASTニュースがネット上で情報を募ったところ、際立って多くの「SOS」が寄せられたのが、DVD・ビデオレンタルショップの従業員だという人々からだった。

   すでに「ゲオ」については報じたが、DVD・ビデオレンタルショップ大手の1つ「TSUTAYA」でも、その多くが短縮営業に留まっており、普段より来客が増えたとして店員らから悲鳴が上がっている。

   TSUTAYA側は、「お客様と従業員の健康が最優先」と強調し、感染防止策を徹底するというが、不安や心配は払しょくできるのだろうか。

  • 感染防止対策を発表したTSUTAYAの公式サイト
    感染防止対策を発表したTSUTAYAの公式サイト
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外出自粛なのに...客数が倍増の店も

   レンタルショップの店員だとする人々からは、J-CASTニュースが2020年4月15日に情報提供フォームのURLをツイッターで紹介したところ、ゲオと同様にライバルのTSUTAYAに関しても16、17日ごろを中心に多数の声が寄せられた。

   外出自粛による「巣ごもり生活」をする人々が続々と来店することに対し、感染拡大などの危険を訴える内容だ。

「私は埼玉県のTSUTAYAで働いている者です。緊急事態宣言が出てからというもの、外出を控えるためか、客数が倍増するようになりました」

   アルバイトをしているという男性は、事実上自粛されておらず矛盾を抱えた店の現状をこう訴えた。

「会社的には売り上げが伸びて嬉しいニュースかと思いますが、このご時世そんな事を言っている場合では無いと思うのです。店内は家族客やご年配のお客様、若者でごった返しています。三密なんてとてもじゃないけど守れるはずがありません」

   あまりの忙しさで掃除や除菌をする時間もできず、店内は不衛生な状態が続いているとこの男性は言う。

   その結果、出勤拒否する店員も数人おり、店が回らなくなっていると訴える。「それを把握していながら、会社は営業をやめようとしません。レンタル屋のシステムだとお客様、スタッフどちらかがコロナにかかってしまうとあっという間に広がってしまうと思います」と会社に休業を求めている。

「生活必需品でもなく、娯楽が必要なら今はインターネットで」

   また、神奈川県内の店でアルバイトをしているという女性は、耳を疑うようなことがあったと明かす。

「休業要請対象の中に、レンタルDVDショップが表記されていますが、店舗の責任者から『休業要請は、強制ではないから、営業は続ける』と言われました。これを聞いて、どう思いますか?こんな認識で感染拡大を防げると思いますか?」

   周辺のショッピングモールなどが要請を受けて休業している影響で、店に開店直後から老若男女が詰め掛け、倍の忙しさになっているという。感染に一番注意しなければならない妊婦や乳幼児連れの家族も来店している状況だそうだ。この女性は、「本当にこのままで良いのでしょうか?従業員が求めるのは、緊急事態宣言の対象地域にある全店舗の休業です」と訴えている。

   このほかにも、「ウチの店舗では、緊急事態宣言後、売上は倍以上になり、外出自粛の足かせになっています」(神奈川県内のアルバイト男性)、「DVDや本は生活必需品でもなく、娯楽が必要なら今はインターネットでなんでもできます。なのに現場の人間を犠牲にして休業しないという姿勢が納得できません」(千葉県内のアルバイト女性)などと次々に投稿が寄せられている。

   実際、TSUTAYAでは、新型コロナウイルスに感染した店の従業員も報告されている。

   公式サイトでの発表によると、福井県越前市内の武生南店で4月7日、アルバイトの30代女性の感染が分かり、翌8日から当面の間、休業することになった。この女性が別に勤務する他企業で感染した人の濃厚接触者に指定され、ウイルス検査を行ったところ、陽性と判明したという。

「密集エリアやレンタル単独の直営店は、順次休業している」

   TSUTAYAを運営する蔦屋書店は20日、「新型コロナウイルス感染防止に伴う対策について」と題するお知らせをサイト上に出した。「お客様と従業員の健康と安全確保を最優先とした上で、できる限りお客様のご要望にお応えするよう努めております」としながらも、「各自治体からの要請を受け、人が多く密集するエリアや商業施設・公共施設における店舗や、レンタル単独店におきましては、直営店舗は順次休業をしております」と説明した。

   実際、都内では、17日現在で20店舗が臨時休業だったのが、21日現在では25店舗に増えてはいる。

   しかし、TSUTAYAサイトの臨時休業店舗一覧によると、21日午前8時時点で休業しているのは全国で118店であるのに対し、短縮営業しているのはフランチャイズ店を中心に790店舗にも及んでいる。

   TSUTAYAには、DVDレンタルのほか本も販売する複合店舗がある。都などは、本屋は休業要請の対象外としているが、人が多く密集するエリアや商業施設に入店している複合店は休業していると蔦屋書店の広報担当者が取材に答えた。ただ、それ以外では営業しており、DVDレンタルの売り場を100 平方メートル以下に順次縮小しているという。この床面積の店についても、都などは、休業要請の対象にしているが、休業しない場合は感染防止対策の徹底を求めている。

   売り場を縮小すれば、余計に混雑して密集状態になる心配はないのかを聞くと、「お客様に対しまして、複数名でのご入店や長時間の滞在は控えて頂く旨のお願いをしており、密集状態にならないように対処しております」と説明した。

   なお、返却されたDVDの消毒など感染防止対策については、「消毒液を可能な限り手配をして店舗に配送をしております」とし、緊急事態宣言が全国に広げられたことへの対応については、「今後各自治体の方針の発表があり次第、対応していく所存です」としている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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