北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長をめぐる健康不安説に現実味が増している。故・金日成主席の誕生日にあたる2020年4月15日の「太陽節」に姿を見せなかったことで何らかの異変が指摘されていた中で、正恩氏が手術を受けたとする報道が相次いでいる。
ただ、手術後の経過は「重篤」「良好」と評価が割れている。
デイリーNK「心血管疾患の手術」、CNN「外科手術」
国営メディアが正恩氏の動静を写真つきで最後に報じたのは2020年4月12日。朝鮮労働党政治局会議の出席(4月11日)と「西部地区航空・対空師団管下追撃襲撃機連隊」の視察(視察日不明)だ。
正恩氏は、4月15日には金主席と父親の金正日総書記の遺体が安置されている錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を12年から毎年参拝してきたが、20年に参拝が報じられたのは「党と政府の幹部と武力機関の責任活動家」。国営メディアの報道を見る限りでは、正恩氏は現場に姿を見せず、名前入り花かごを出すにとどまったため、重要行事の欠席理由をめぐって臆測が広がっていた。
そんな中で、北朝鮮専門サイトのデイリーNKが4月20日、北朝鮮内部の消息筋の話として、正恩氏が4月12日の中部の妙香山(ミョヒャンサン)にある一族専用病院で「心血管疾患の手術」を受けたと報道。平壌から動員された医師団は経過が良好だと判断し、4月19日までに大半が平壌に引き上げたとも報じている。一方、CNNは4月21日午前(日本時間)、正恩氏が外科手術後に重篤な状態にあるとの情報を米国が注視している、と米当局者の話として伝えている。