サービス終了まであと約3か月だったPHSサービスについて、現在国内で唯一提供しているソフトバンクが終了の延期を発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響から携帯電話への移行手続きを行うことが難しくなっているとの声が、「医療機関を始めとするお客さま」から寄せられていることを受けた措置だとしている。
ツイッターでは、「こんなところにも影響が出てるのか」といった驚きや、「まだ使ってる病院は助かる」といった歓迎する声が寄せられている。
「全国の医療機関をはじめとするお客さま」からの要望
ソフトバンクとウィルコム沖縄は2020年4月17日、「ワイモバイル(Y!mobile)」ブランドで提供している、一部プラン(テレメタリングプラン)を除くPHSサービスの終了時期について、予定していた7月末から21年1月末まで延期すると発表した。ソフトバンクは18年3月末で新規契約を停止し、同年4月に20年7月での終了を発表していた。
延期の理由については、新型コロナの影響で携帯電話への移行手続きが困難になっていると、「全国の医療機関をはじめとするお客さまから延期の要望を多くいただいている状況」を考慮したと説明している。新型コロナ感染拡大を受け、「医療崩壊」を避けるために医療現場への支援の重要性が指摘されるなか、PHSサービスをめぐり側面支援を行った形だ。
PHSサービスは1995年に始まった。かつての医療現場では、医療機器への電波の影響を考慮し、電波の強い携帯電話よりもPHSの方を使用するケースが多かったため、全体的なPHS利用者が携帯電話に押されて激減する中でも、医療関係者の間ではPHS利用者が少なからず残っていた。ただ、次第に携帯電話も医療機器も改良され、医療現場でも携帯電話の利用が進んでいる。
「まだ使っている病院は助かる」
総務省サイトでは、同省も検討に加わった「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」(電波環境協議会、2014年8月公表の新指針)を紹介しており、同指針では、携帯電話の電波出力低下などに触れたうえで、携帯電話などの医療現場での使用について「医療の高度化・効率化(略)に大きな効果が見込まれるため、今後、安全を確保しつつその推進を図ることが、非常に重要である」と指摘している。
実際、今回の延期発表をうけたツイッター反応をみると、医療関係者を名乗っているわけではないが、「病院内PHSは、いまだばりばり現役ですよ」「まだ使っている病院は助かる」との声もあがっており、ソフトバンクの延期対応に対し、「たまにはやるじゃん!」と肯定的な感想を示す人もいた。また、自身が関係する医療機関が「昨年か一昨年」にPHSから携帯電話に代わったと報告するツイートもあった。他にも、医療関係者以外とみられる人から「こんなところにも影響で出てるのか」と驚く声もあった。
総務省サイトによると、2019年12月末段階の契約数は、PHSが約175万件(前年同期比18.4%減)、携帯電話が1億8280万件だった。
なお、先に触れたソフトバンクの「テレメタリングプラン」はデータ収集などに使われるサービスで、予定通り2023年3月末に終了する。