素直に「おかしい」という声を上げる大切さ
―― ところで、緊急事態宣言発令直後の4月7日の首相会見では、安倍氏は「我々も、ネットから出てくる情報をしっかりとつかみながら対応していきたい」と話していました。玉木代表としては、「ネットの声」を、どのように政策に生かしていますか。
玉木: ネットの声の影響力は増してきていると思いますね。色々な誹謗(ひぼう)中傷のようなこともありますが、すごく普通の声も届きます。特に今回は、我が党は妊婦さんの問題を取り上げました。いわゆる基礎疾患を持つ人や高齢者など、特にケアが必要な人については当初から指摘されてきましたが、妊婦の看護師さんから「3時間かけて決死の覚悟で満員電車に乗って通勤している。やっぱりみんな忙しいし、自分から休むとは言い出せない。お腹の子どものことを心配したり、感染のリスクを背負いながら通勤しています」といった切実な声がネットを通じて寄せられ、対策の必要性を感じています。
―― ユーチューブの「たまきチャンネル」では、一見複雑な政策の話を、かみ砕いて説明しています。
玉木: あれを見て政治に関心を持ったという人が多いです。実は、10代、20代に多く見てもらっています。もちろん世代が上の人も見ていますが、そういう若い人たちに政治を身近に感じてもらえるきっかけになっているという意味では、動画配信はこれからも続けていこうと思います。ツイッターでも2分の動画配信を始めましたが、30万回近く見られるものもあります。そういうこともあって、総理も判断を変えたんじゃないかと思っています。やっぱりネットの声は大きいですよ。
―― 10万円の件が象徴的ですが、指摘し続ければ事態は変わることもある、ということでしょうか。
玉木: 東日本大震災でもそうでしたが、普段政治に関心がない人でも、「これが政治なんだ」と感じる場面が多いと思うんですよ。例えばマスクが家に配られてくる、というのは政治が決めないと決まらないことです。そのことが良いか悪いかの判断を、身近にできるようになってきています。政治が「分かる」「分からない」ではなくて、ある事柄が起こったときに、素直に「おかしい」という声を発することによって、世の中が正しい方向に変わっていく確率が上がっている、と思っていただいた方がいいと思いますね。
玉木雄一郎さん プロフィール
衆院議員、国民民主党代表。1969年香川県生まれ。東大法学部卒。93年旧大蔵省入省。2009年の衆院選で香川2区から初当選し、現在4期目。旧民進党幹事長代理、国民民主党共同代表を経て18年9月から現職。