消費減税が持つ「2つ」の効果
―― この現金給付は、組み替えが進んでいる補正予算で対応することになりますが、第2次補正予算を組んで追加対策が必要になりそうです。給付には様々な案が出ていますが、やはり商品券は効果が低いと考えますか。
玉木: 二つに分けて考えなくてはいけません。感染拡大防止の時期は、消費活動を活性化させるのはだめだと思います。国から給付するお金は、生活、事業継続を支えるという目的に特化したほうがいい。その意味では先ほど言った10万円は、おそそ3か月分と計算していたので、もし7月以降まで長引くようであればやはり第2次補正を組んで7~9月の手当てもすべきです。企業への持続化給付金についても額が本当に100~200万で済むのかという議論があるので、増額を考えなければなりません。
一方で、ある程度感染拡大の抑制段階になってきたら消費を盛り上げようというときに、商品券の話が出てくる。これは非効率で面倒なので、すべての財・サービスを等しく刺激するのにいいのは、消費税減税ですよ。もちろん色々な意見がありますが、短期的に消費税を5%以下にする...、税負担を最もシンプルに軽くするのはゼロにするのがいい。事業者に聞いたら、「中途半端に下げるくらいなら時限的にゼロの方がいい。そうしたら消費がV字回復する」と(いう声が上がった)。それはその通りなので、私はむしろやった方がいいと思います。20兆円ぐらいの財源が一時期必要ですが、それは国債を発行して短期に調達すればいい。とにかく今は、事業をしている方をつぶさない、ということが大事。いったん辞めてしまうと二度と復活しないので、そうすると税収の源が根こそぎなくなってしまいます。事業継続が可能な資金をしっかり届けるということが第一。それが復活してきたときに、ややこしい商品券とかではなくて、消費税を大胆に減税、あるいは一時停止するということが一番効果的なのではないでしょうか。
―― 国民民主党の経済対策では、(1)10兆円の家計減税(消費喚起)(2)10兆円の給付措置(生活保障)(3)損失に対する10兆円の減収補償(事業継続支援)の3つを掲げています。(2)(3)は緊急度が高く、(1)は少しフェーズが後ろにずれるイメージですね。
玉木: そうですね。事態が長期化する可能性がありますから。
―― 立憲民主党の枝野幸男代表は4月3日の定例会見で、消費減税について 「消費を拡大させるという一般的な経済対策について、今論じている時期ではない」 と述べています。今の優先順位の議論からすると、枝野氏と認識はずれていないとも解釈できますね。
玉木: ずれていませんね。消費減税がいいと思っているのは、「消費減税を将来やる」と今宣言すると、猛烈な買い控えが起こることです。今は経済活動が収縮する時期なので、買い控えていい。その代わり、将来(消費税が)安くなったときに買うということで、ある程度感染拡大が抑えられた段階で(消費が)ブーストします。このように、消費税減税というのは、短期における消費の抑制と、回復した後に一気に回復させるという両方の意味があるので、コロナ対策としては非常に効果的なのではないかと思っています。
―― そうなると、実際に下げる時期は微妙なところですね。
玉木: 先になりますね。