今後の需要が見込めるLNG船と環境技術
今回はローカル企業と大企業が、企業文化の違いを超えて手を結ぶことになり、「新たな業界再編の段階に入った」(造船大手)と受け止められる。その成否を占う焦点は今後の需要が見込めるLNG船と環境技術だ。
今回の提携でLNG船が対象外になったのは、今治が三菱重工業とLNG船の営業・設計の合弁会社をすでに設けているからだが、その三菱は創業の地であり大型船の主力工場である長崎造船所・香焼工場(長崎市)を大島造船所に売却することになった。これでLNG船から撤退することになり、今治・三菱の合弁の意味は薄れる。LNG船をめぐり今治・JMU提携がどういう方向に進むのか、またオールジャパンの中でLNG船がどう位置づけられ、再編が進むのかが注目される。
もう一つは国際的な環境規制強化だ。国際海事機関(IMO)は船舶について二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を、2030年に08年比で40%以上削減することを求めている。世界で開発競争が進む中、新合弁会社は規制をクリアした新鋭船を早期に市場に送り出すことが大きな狙いで、その成否は日本の造船界の将来をも左右しそうだ。