「オールジャパン構想」で韓・中勢に勝てるか 造船業界に「新たな再編段階」

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生い立ちの違い

   日本でも、国土交通省主導で「オールジャパン構想」が打ち出されてはいる。日本には約50カ所の造船所があるが、まず開発や設計・受注などの上流を一本化し、建造という下流は各社に割り振ることから始め、過剰だったり非効率だったりする造船所の閉鎖・集約につなげようというものだ。業界の抜本的な再編も視野に入っており、国交省は協業・提携に必要な投資などを補助する策を検討している。今回の今治とJMUの提携は、その大きな第1歩。両社合弁新会社で受注し、それぞれの造船所で船を建造すれば、多数隻の発注も受けられる。

   ただ、両社の生い立ちの違いを心配する向きもある。今治造船は1901年に創業し、創業家の強いリーダーシップのもと、独立独歩の経営をしてきた「オーナー系」。これまで、経営危機に陥ったほかの造船会社を買収して勢力を拡大し、シェアトップに立ったも。瀬戸内エリアに集中する地の利を生かし、強固なサプライチェーンをベースにコスト管理に定評があるが、ローカル色は否めない。

   一方のJMUは2013年1月1日に旧日立造船・日本鋼管(現・JFEホールディングス)系のユニバーサル造船と、旧IHI・住友重機械工業系のアイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドが合併して誕生した「総合重工系」。JMUへの出資比率は JFEとIHI各46%、日立造船8%だが、今治の今回の出資で、JFEとIHIが各32%、日立造船6%になる見込み。30%という今治の出資比率は、「ぎりぎり筆頭株主にはならないという絶妙な線」(業界関係者)。今治の檜垣社長が「あくまで(対等な)アライアンスだ」と強調するのも、重工系への配慮からだ。

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