「オールジャパン構想」で韓・中勢に勝てるか 造船業界に「新たな再編段階」

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   国内造船最大手の今治造船(愛媛県今治市)と2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市)が資本業務提携した。商船分野の設計・営業部門の共同出資会社「日本シップヤード」を2020年10月1日付で設立するとともに、今治がJMUに30%を出資する。建造量の国内シェアが合わせて5割に達する2強が手を組み、一足先に統合を進める韓国、中国勢に対抗する。

   両社は2019年11月、提携で基本合意し、具体的な中身を詰めていた。20年3月27日の発表によると、JMUが発行する新株を今治が引き受ける形で30%出資する。合弁の日本シップヤードは、今治が51%、JMU49%が出資し、液化天然ガス(LNG)運搬船以外の大型タンカーやばら積み船など商船を手掛ける。人員は500人規模を想定している。

  • 造船業界の未来に注目が集まる(写真はイメージ)
    造船業界の未来に注目が集まる(写真はイメージ)
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2社を合わせ建造量の国内シェア5割

   この日の発表会見で、今治造船の檜垣幸人社長は「いい品質で最先端の船を誰よりも早く造る」、JMUの千葉光太郎社長は「今治造船の規模と販売力を、我々の人材や技術と融合すれば強い会社になる」と述べ、提携の意義を強調した。

   今治は建造量450万総トン、売上高3910億円、JMUは同236万総トン、2541億円で、2社を合わせ建造量の国内シェアは5割に達する。とはいえ、世界シェアは今治が4位、JMUが同7位で、合わせても世界シェアは12%。日本の造船業界全体でも手持ち工事量(受注残)が1800万総トンを割るという20年ぶりの低水準に落ち込んでいるなど、業界の厳しさは増している。

   これに対して中国では世界2位の中国船舶工業集団(CSSC)と同5位の中国船舶重工集団(CSIC)が経営統合、韓国でも世界首位の現代重工業が、買収が決まった同3位の大宇造船海洋との統合を進めている――というように、それぞれ国内のトップ2の合体が進む。この中韓2陣営だけで世界の建造量のシェアが4割に達し、中小造船所が乱立している日本は水を開けられるばかり。IHIがLNG船に搭載するアルミ製タンクなど海洋構造物を作る愛知工場(愛知県知多市)を閉鎖、三井E&Sは千葉工場(千葉県市原市)の造船から撤退するなど、縮小の動きが止まらない。

   特に、世界的に海運業界の再編が進んだことから、大型商戦を一度に何隻も発注することが増え、小規模な造船会社では対応できなくなっているという。中韓の統合はまさに、そうした流れに呼応した動きといえる。

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