新型コロナウイルスによる経済危機から急ピッチで回復が進んでいる中国では、社会生活も徐々に正常に戻りつつあり、マスコミの間では、2021年に延期された東京五輪と、2022年に開催が決まっている北京の冬季五輪に少しずつ注目が集まるようになっている。
前代未聞の五輪延期によって、中国がこうむる経済的損失、さらに北京五輪への影響について、悲観的な見方が支配的になっている。
日本民宿への投資が破滅
中国は2008年開催の北京五輪による社会的インフラ急成長という実体験から、五輪はスポーツイベントであると同時に、経済成長という意味できわめて大きいインパクトを持つと多くの人が思うようになっている。
ここ数年、いわゆる「金満現象」が中国でも至る所で起きており、2020年の東京五輪も日本社会を大きく変化させ、金儲けのチャンスがやってきたと思う中国人は、東京の不動産を購入したり、民宿に投資したりしていた。
しかし、東京五輪の延期で、その投資の目論見は狂い、加えてコロナショックがやってきて、たとえ2021年7月に東京五輪が開催されても、その投資自体が破滅する可能性がある。2020年4月8日、中国ポータルサイトのSohuニュースは、日本の民宿に投資した中国人を取材した記事を載せた。
「あっちこっちからかき集めた金は、せいぜい五輪開催予定だった2020年7月まではもつが、コロナショックもあって中国人の観光客が少なくなり、21年7月以降は生きられない。もう破産だ」
ある中国人投資家は語っていた。日本人ではないので、投資はすべて現金であり、日本の銀行からの融資などは一切なかった。その分、資金繰りはすでに底がついているという。
テレビ局で働く友人も
「(東京五輪の)チケットはもう買っている。キャンセルもできないようで泣き寝入りするしかない」
と言う。21年の延期された大会でも使えるようだが、それはあまりにも長いと感じている。
日本の報道では、東京五輪の1年延期によって6000億円ぐらいの損失が出ると大学教授は指摘していたが、それは延期にかかる諸費用であり、中国の投資家たちの損失は当然、その総額に入っていない。中国人の間では、熱い思いで2020年の夏を東京で過ごす夢もすでに覚めている。