神奈川県医師会が、「不安をあおるメディア」に投げかける疑問 「医療現場の現実を、知ってもらいたいのです」

どう行動すべきか。考えるきっかけになれれば

   最後に宮川氏は、県医師会の「コロナ通信」について、医療崩壊を防ぎ、この苦難を乗り越える一助になるかもしれないと、願っている。

「色々な言葉に恐怖や不安を覚えた方も多いと思います。『医療崩壊』はその1つです。新型コロナウイルス感染症の患者さんを1人でも多く助けるため我々は尽力していますが、一部の外国のように患者さんが病院の廊下に溢れかえる状態になってしまえば、年齢や持病の有無などで高度医療の提供を断念する『命の選択』を行わなければならなくなります。

今まで当たり前に行われていた地域での医療提供が受けられなくなります。交通事故にあった時、心筋梗塞や脳梗塞を起こした時、心不全が悪化した時、ガンが悪化した時、医療が崩壊していると救命できなくなります。お子さんを授かったときでも、安心できる医療環境で出産を迎えられることも危ぶまれるかもしれません。

新型コロナウイルスの感染者が増えれば増えるほど、感染症で命を落とす患者さんが増えるだけでなく、いつもなら助かるはずだった患者さんも命を落とすことになるのです。医療崩壊を防ぐためには、とにかく感染者を増やさないことに尽きます。

そのために、どう行動すべきか。私たちの発信が、少しでもそれを考えるきっかけになれればいいと思います。

これからは、もっといろいろな立場の方々から意見を募ることで、お互いのことをより尊重しあえると思います。そうして助け合えればいい。さまざまな情報を地道に収集し、編集していったら、良い『ガイド』ができるのではないかと思います。医学の専門的なガイドではありません。大事なのは『私たちはどう生きていけばいいのか』です。日々を暮らすための術を、みんなで積み上げていければいいなと思っています」

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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