石垣市の中山義隆市長は2020年4月14日、ステーキ店「いきなり!ステーキ」から透明マスクの寄贈を受けたとツイッターで明かした。
市では、記者会見に出席する手話通訳者用のマスクを探していた。「いきなり!ステーキ」では、従業員が透明のマスクをつけており、表情や口の動きが隠れないこのタイプは好都合だった。手話通訳者からは好評だという。
手話は「表情や口の動き」も重要
中山市長は14日にツイッターで、市内にある「いきなり!ステーキ」から透明のマスクを寄贈され、手話通訳者に渡したと報告した。「ありがとうございます。みんなで力を合わせ #コロナ感染拡大防止!」と店に感謝も伝えている。
石垣市企画政策課によれば、市の記者会見の際、手話通訳者がマスクをつけておらず、市民らから着用すべきだとの意見が寄せられたという。
しかし、「手話は手の動きと同時に表情や口の動きも文法として重要」(企画政策課)のため、通常のマスクはつけられなかった。口元が透明のマスクの購入を検討したが、納期に時間がかかるため断念していた。
そんな折、市内の「いきなり!ステーキ」で従業員が透明マスクを使っていることを知った市長が、知人を通じて譲ってもらえないか相談したところ、店は快諾し、マスク2枚を寄贈するにいたった。
実際に着用した手話通訳者は「自身からの飛沫(ひまつ)を抑制する意味ではある程度効果があると思われ、自然に手話通訳ができた。光の反射で口の動きが見えにくくならないか気になっていたが、手話通訳を必要としている方からとくにそのような意見はなく、効果があった」と話しているという。
コロナ禍で透明マスク売上急増
いきなり!ステーキを運営するペッパーフードサービス(東京都墨田区)の広報は取材に、この透明マスクはいきなり!ステーキ全店で導入しているという。
「ウイルス除去に関してはあまり効果は見込めない」ものの、飛沫の防止に役立ち、繰り返し洗って使える。製造は衛生用品を販売する「ムーヴ・オン」(東京都新宿区)が手がけ、ペッパーフードサービスが「笑顔の見えるマスク」との商品名で商標登録した。
新型コロナウイルスの発生を受け、今年の1月からネット通販で販売もしている。価格は10枚入で税込5280円(送料別)。
マスクが不足し始めた2月末から急激に売れ、3月には約1万3000個が売れたという。主な購買層は法人で、警備会社、学校、幼稚園、工場、消防庁、不動産会社、ビル清掃会社など幅広い業態で好まれた。