金正恩氏に何が...? ミサイル発射に沈黙、金日成主席誕生日も言及なし

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   北朝鮮は2020年4月15日、故・金日成主席の誕生日にあたる「太陽節」を迎えた。例年であれば首都・平壌は祝賀ムードに包まれ、金正恩・朝鮮労働党委員長が、金主席と父親の金正日総書記の遺体が安置されている錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を参拝するのが恒例になっている。

   だが、国営メディアの報道によると、20年の太陽節に宮殿を訪問したのは「党と政府の幹部と武力機関の責任活動家」で、正恩氏への言及はなかった。さらに、ミサイル発射の翌日には正恩氏の「現地指導」の写真とともに、その事実が報じられるのが通例だが、14日朝のミサイル発射については、16日になっても北朝鮮メディアは沈黙を守っている。

  • 2020年の「太陽節」では、金正恩氏の姿は報じられず、「金正恩」の名前入りの花かごを出すにとどまった(写真は労働新聞から)
    2020年の「太陽節」では、金正恩氏の姿は報じられず、「金正恩」の名前入りの花かごを出すにとどまった(写真は労働新聞から)
  • 2019年の「太陽節」では金正恩氏も参列していた(写真は労働新聞から)
    2019年の「太陽節」では金正恩氏も参列していた(写真は労働新聞から)
  • 2020年の「太陽節」では、金正恩氏の姿は報じられず、「金正恩」の名前入りの花かごを出すにとどまった(写真は労働新聞から)
  • 2019年の「太陽節」では金正恩氏も参列していた(写真は労働新聞から)

動静は4月12日を最後に伝えられず

   北朝鮮は4月11日に朝鮮労働党政治局会議、12日に国会に当たる最高人民会議をそれぞれ開催。正恩氏は政治局会議にのみ出席した。国営メディアが12日、朝鮮労働党政治局会議の出席と「西部地区航空・対空師団管下追撃襲撃機連隊」の視察(視察日不明)を報じており、これが16日時点で報じられている正恩氏の最後の動静だ。

   太陽節では、例年は様々な祝賀行事が行われ、特に105回目の誕生日にあたる17年の太陽節では、大規模な軍事パレードを開催。大陸間弾道ミサイル(ICBM)と見られる新型ミサイルも公開された。それが20年は一転。祝賀ムードを伝える国営メディアの記事が激減し、平壌市内に花が咲いたり、新型トロリーバスが走ったりする様子を伝える程度だ。

   正恩氏は12年から毎年欠かさず太陽節には宮殿を参拝してきたが、 20年4月16日の朝鮮中央通信の記事では、

「金日成主席の生誕108周年に際して、党と政府の幹部と武力機関の責任活動家が15日、錦繍山太陽宮殿を訪れて崇高な敬意を表した」

として、正恩氏への言及はなかった。ただ、配信された写真に映っている花かごには「金正恩」の名前が入っており、現場には赴かずに花かごだけを出した可能性がある。

新型コロナへの対応が影響?

   韓国の通信社「ニュース1」は、

「特に先代首領の業績を称える政治的なイベントにあたる中央追悼大会も開かれていないとみられる。労働新聞も、金主席の業績を称える追悼記事を掲載したものの、関連記念行事のニュースは伝えていない。全体的に新型コロナウイルス感染症防疫の影響を受けたものと分析される」

と指摘している。

   一方、韓国軍の合同参謀本部は4月14日、北朝鮮が東部(江原)道の文川(ムンチョン)付近から日本海に向けて、短距離ミサイルとみられる飛しょう体を発射したと発表。通常、ミサイル発射の翌日には国営メディアがその事実を報じるが、16日15時時点で、国営メディアは沈黙を守っている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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