北朝鮮は2020年4月15日、故・金日成主席の誕生日にあたる「太陽節」を迎えた。例年であれば首都・平壌は祝賀ムードに包まれ、金正恩・朝鮮労働党委員長が、金主席と父親の金正日総書記の遺体が安置されている錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を参拝するのが恒例になっている。
だが、国営メディアの報道によると、20年の太陽節に宮殿を訪問したのは「党と政府の幹部と武力機関の責任活動家」で、正恩氏への言及はなかった。さらに、ミサイル発射の翌日には正恩氏の「現地指導」の写真とともに、その事実が報じられるのが通例だが、14日朝のミサイル発射については、16日になっても北朝鮮メディアは沈黙を守っている。
動静は4月12日を最後に伝えられず
北朝鮮は4月11日に朝鮮労働党政治局会議、12日に国会に当たる最高人民会議をそれぞれ開催。正恩氏は政治局会議にのみ出席した。国営メディアが12日、朝鮮労働党政治局会議の出席と「西部地区航空・対空師団管下追撃襲撃機連隊」の視察(視察日不明)を報じており、これが16日時点で報じられている正恩氏の最後の動静だ。
太陽節では、例年は様々な祝賀行事が行われ、特に105回目の誕生日にあたる17年の太陽節では、大規模な軍事パレードを開催。大陸間弾道ミサイル(ICBM)と見られる新型ミサイルも公開された。それが20年は一転。祝賀ムードを伝える国営メディアの記事が激減し、平壌市内に花が咲いたり、新型トロリーバスが走ったりする様子を伝える程度だ。
正恩氏は12年から毎年欠かさず太陽節には宮殿を参拝してきたが、 20年4月16日の朝鮮中央通信の記事では、
「金日成主席の生誕108周年に際して、党と政府の幹部と武力機関の責任活動家が15日、錦繍山太陽宮殿を訪れて崇高な敬意を表した」
として、正恩氏への言及はなかった。ただ、配信された写真に映っている花かごには「金正恩」の名前が入っており、現場には赴かずに花かごだけを出した可能性がある。