テレビ番組に比べてはるかに高い、「放送中止への耐性の高さ」
まず、「出演者が少ない」というのが、YouTube番組の強さとして挙げられるだろう。YouTube番組の特徴として、「アカウントの運営者が自ら番組に出演する」という特徴があるが、その出演人数は多くの場合、アカウントの運営者1人。まれにゲストが招かれる場合もあるが、それでも出演者は計2人となる場合がほとんどであり、その出演者の少なさから、感染が拡大する可能性が低い番組制作方法であると言えるだろう。また、出演者の少なさに引きずられる形で、撮影スタッフも必然的に少なくなるため(場合によっては出演者がそのまま撮影)、これもまた、感染拡大を防ぐのにプラスの要素と言えるだろう。
さらに、その撮影スタッフの少なさから、「撮影が中止になった場合の損害」がテレビ番組に比べて少ないということも言えるのではないだろうか。例え中止になっても、撮影スタッフが少なければ人件費は抑えられるからだ。
YouTube番組の長所は他にもある。それは、「定期的に放送しなくて良い」という点だ。ドラマやバラエティー番組は週1回の放送が1クール以上要求されるなど、ひとたび撮影が滞った場合は番組存続の危機に陥るが、YouTube番組の公開は不定期に行われるのが当たり前であり、撮影が滞った場合は「新たな放送回を公開しない」という手段が容易に取れるからだ。それはすなわち、「公開日という締め切りがない」ということでもあり、撮影スタッフが感染症にかかってしまった場合に無理に仕事をしなくて良いということであり、やはり、感染拡大を防ぐことが出来るからだ。
とどめとして挙げられるのが、「放送中止になった場合に総集編を放送しなくて良い」という点だ。新型コロナウイルスの流行により放送開始時期が延期されたドラマのうち、「ハケンの品格」(日本テレビ系)を例に挙げると、放送を予定していた毎週水曜日のうち、4月15日と22日については2007年に放送された前作の総集編が放送されることが決まり、その後に関しては15日時点では放送開始日が確定していないが、YouTube番組は前述の「新たな放送回を公開しない」という要素に加え、アカウント内にはこれまでの放送回がいつでも閲覧できる状態で公開されているのだ。
これら、テレビ番組とは比較にならないほど放送中止への耐性が高いYouTube番組。昨今の、芸能人のYouTuberデビューのブームは新型コロナウイルスの流行を予測したものではもちろんないわけだが、奇しくも、その「耐性の高さ」がある以上、新型コロナウイルスの流行が長引いた場合はこれまで以上に芸能人のYouTuberデビューが進み、その反動としてテレビ界の「過疎化」が進むという事態もあり得るのではないだろうか。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)