「罰金大国」として知られるシンガポールが、新型コロナウイルス対策でもその本領を発揮している。
シンガポール政府は不要不急の外出をしないように求めており、従わない人には取締官が警告文書を渡してきた。だが、「多くの人が対策を真剣に受け止めていない」として、違反者には300シンガポールドル(約2万2800円)の罰金という強硬策がスタート。この対応が始まった初日だけで約200件が摘発された。
厳重注意3000件で「明らかに厳罰が必要」
シンガポールでは、感染拡大を受けてリー・シェンロン首相が2020年4月3日にビデオ演説を行い、4月7日から5月4日にかけて、生活に不可欠な業種を除く大半の民間企業のオフィスを閉鎖するように求めた。この対応は、株式市場で株価が大幅に変動した場合に強制的に取引を止める措置になぞらえて「サーキットブレーカー」と呼んでいる。
「サーキットプレーカー」では、(1)通院や食料の買い出しなどを除く外出をしない(2)家族とも接触を制限する(3)集会をしない(4)屋外でも他者と最低1メートル開ける(5)食堂で飲食をせずに持ち帰りか宅配を利用する、といった対応も求めている。
だが、これは現時点では徹底されていない模様で、マサゴス・ズルキフリ環境・水資源相は4月11日のフェイスブックの書き込みで、この日だけで厳重注意が3000件にのぼったとして「明らかに厳罰が必要」だと表明。4月12日から、違反者には警告文書を渡さずに300シンガポールドルの罰金を科すことにした。これは「初犯」の場合で、「再犯」の場合はさらに高額な罰金や、悪質なケースでは起訴されて裁判にかけられる可能性がある。
違反者大幅減で「シンガポール人は公の場でよく振る舞っている」
4月12日深夜のズルキフリ氏の書き込みによると、3100人を動員して取り締まりにあたった。この日だけで200人が罰金の対象になったが、
「昨日の警告3000件よりも大幅に少ない数だ。シンガポール人は公の場でよく振る舞っている。多くの人が自宅で過ごすことを選んでいることに感謝したい」
として、強硬策が奏功したとの見方を示した。
一方で、週明けに向けて
「新しい週が始まるが、安全な距離を取る対策を無視しつづける者には、躊躇なく対応することは明確にしておきたい」
などと改めて警告した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)