KDDIのキャッシュレス決済「au PAY」が、2020年4月13日から「生活応援企画」を実施する。
加盟店でのポイント付与が倍増になるキャンペーンだが、なぜこのタイミングで行うのか。
「どこでも1%」でPayPayに対抗
au PAYでは通常、税込200円ごとに1ポイント(0.5%)還元だが、キャンペーン期間中は2ポイント(1.0%)となる。また、ローソン、ナチュラルローソン、ローソンストア100での決済は、通常の8倍にあたる8ポイント(4.0%)が付与される。
IDごとの還元上限は1000ポイント/日、3000ポイント/月。もっとも還元率のいいローソンなら、毎月7万5000円まで対象となる。終了日は未定で、「終了する場合は事前にお知らせします」としている。
au PAYは19年4月開始で、NTTドコモのd払い(18年4月)、ソフトバンク系のPayPay(18年10月)より後発にあたる。そのため、競合他社に埋もれないよう、このところインパクトのある施策を打っている。
記憶に新しいのが、この2月から3月にかけて行われた「毎週10億円」だ。最大20%還元となる同キャンペーンは、決済ごとの還元上限がなかったことから、家電量販店などで高額商品を購入するユーザーが続出。途中で条件が一部変わったが、7週すべて最終日を待たず「10億円」に到達した。
それに続くのが、今回の企画となる。ライバルのPayPayは、4月から基本付与率を0.5%に引き下げ。100円以上の決済を50回以上、もしくは10万円以上の利用で、翌月1.0%になる新制度を導入した(両条件を満たすと1.5%)。ヘビーユーザーでなければ、PayPayを普段使いするメリットは少なくなる。そこに「だれでも&どこでも1%」で乗り込んだのがau PAYだ。
5月から「Ponta」になる
PayPay対策に加えて、もうひとつ考えられるのは、新ポイント制度の周知だ。KDDIは19年12月、ローソンと資本業務提携を結んだ。その目玉がau WALLETポイントとPonta(ポンタ)の統合で、20年5月にPontaへ一本化される予定だ。今回の生活応援企画でも、4〜5月利用分はまとめて6月末ごろ、以降は利用翌月末ごろに、Pontaで付与される。いわば「Ponta化のお披露目」といった性質を持っている。
Pontaは、ローソンで1ポイント=1円分として利用できるほか、対象商品と交換できる「お試し引換券」にも使える。4月のラインアップを例に見ると、ポテトチップス(129円、以下税込)が40ポイント、缶チューハイ500ml(210円)が80ポイント、ワイン1500ml(税込968円)が320ポイントなどがあり、等価よりも安価に入手できる。au PAYをローソンで使い、貯まったポイントをお試し引換券にして----といった「Ponta経済圏」に引き込む上で、両者をイコールで結ぶタイミングとして、統合前のいまは重要と言えるだろう。
おりしも、新型コロナウイルスの感染拡大によって、日常生活への不安は増している。「生活応援」には、その意味も込められていると思われるが、この時期になった背景には、4月のうちに「au PAYといえばローソン」のイメージを定着させたい事情もありそうだ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)