新潟と愛知のラジオ局が、相次いで閉局を発表した。広告収入の不足などを理由としているが、地域に根ざしたメディアの消滅を惜しむ声は絶えない。
一方で、ネット配信に新たな活路を見出す局もある。この春の動きから、ローカルラジオ局の現状を探る。
「放送局として経営継続が困難と判断」
新潟県域で放送するFM PORT(新潟県民エフエム放送)は、2020年6月末をもって閉局する。3月31日の発表文には、切実な事情が書かれている。同社は以前からスポンサー不足による債務超過があり、そこへ大口スポンサーの出稿停止が追い打ちをかけた。経費削減や営業強化を行ったが、「放送局として経営継続が困難と判断」するに至った。
00年開局のFM PORTは、ネットワークに属しない独立局ならではの番組編成で人気だった。20年4月時点のタイムテーブルを見ると、自社制作に加えて、ラジオ日本(AM・神奈川県)やNACK5(FM・埼玉県)、K-mix(FM・静岡県)といった他局番組もラインアップされている。
独立局は編成も独自にできる一方で、コンテンツ調達も自力で行う必要がある。ネットワークには、AMではNRN(キー局:文化放送・ニッポン放送)、JRN(同TBSラジオ)、FMではJFN(同TOKYO FM)などがあり、それらに加盟すると番組供給を受けられるのがメリットだ。
しかしながらネットワークに属していても、順風満帆に行くとは限らない。愛知県名古屋市を中心エリアとするRadio NEOが、そのひとつだ。InterFM(東京都)を中心とする外国語放送のネットワーク「MegaNet」に加盟しているが、こちらも6月末で閉局する。経緯を振り返ると、ローカル局の事情に加え、外国語放送局の難しさが見えてくる。
かつて名古屋圏には、MegaNet加盟のFM局RADIO-i(愛知国際放送、00〜10年)があった。経営難で同局が停波したことを受けて、13年に同周波数でInterFMが「InterFM NAGOYA」を開局。15年にRadio NEOへ改称し、翌年に別法人へ。そして20年3月末、「諸般の事情」を理由に、6月末で閉局すると発表した。