仏ルノーも「火の車」
そうしたなか、ある銀行関係者は「日産の経営状況は、そんな悠長なものではない」と、危機的状況を懸念する。
新型コロナウイルスの世界的な流行による需要減少で、自動車大手は国内外を問わず、どこも工場閉鎖に追い込まれ、一時解雇や一時帰休などによる人員調整などの措置を取り始めている。日産を「救済」した仏ルノーの経営もまた「火の車」だ。
政府は緊急経済対策に、雇用調整助成金の拡充を盛り込んでおり、製造業などに雇用の維持を求めているとはいえ、
「はっきり言えば、日産の販売不振はコロナが直接的な原因ではない。ゴーン問題以降の経営のゴタゴタには、銀行もユーザーもうんざりしている。コロンが収まったからといって、すぐさま売り上げが戻るとは思えない。まずは、リストラだ」
と、前出の銀行関係者は手厳しい。
コロナ禍の影響で、融資枠の設定を要請したのは日産だけではない。トヨタ自動車は3月に、三井住友銀行と三菱UFJ銀行に対して合計で1兆円規模の融資枠の設定を要請した。そのトヨタの手元資金は2019年12月末時点で約6兆円だ。
日産の手元資金は現預金が約1兆2000億円、有価証券が約2000億円分。トヨタと比べて、財務基盤の脆弱さがわかる。