レナウンは親会社との「連携不足」
ワールド以外の3社はコロナの影響が出る前から、最終赤字かその見込みという厳しい状況だった。レナウンの2019年12月期連結決算(決算期移行のため10カ月の変則決算)は67億円の最終赤字。単純比較できないが赤字は2期連続だ。レナウンは2010年に中国繊維大手の山東如意科技集団の傘下に入ったが、10年を経てもなおうまく連携できていない。今回の赤字の要因として、山東如意グループの香港企業に対する売掛金回収が滞り、貸倒引当金53億円を計上したことがある。暖冬で単価の高いコートなどが低調だったことも影響した。決算短信には投資家に注意を促す「継続企業の前提に関する注記」を記載した。
山東如意との連携不足はトップ人事にも影響した。3月26日の定時株主総会で5割超出資する山東如意によって神保佳幸社長と北畑稔会長の取締役再任案が否決される異例の事態となったのだ。山東如意がレナウンの業績悪化を受けて経営陣を刷新させようとしたもので、新たに毛利憲司取締役が社長に昇格し、会長に山東如意の邱亜夫董事長が就任。神保氏は相談役、北畑氏は顧問に退いた。社長が国内、会長が海外事業を担当するという。「雨降って地固まる」となれば良いが、「注記」もあって先行きは見通しがたい。