井上尚弥にはまだ「伸びしろ」がある 専門家が指摘する、さらなる進化の可能性

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   ボクシングのWBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)が2020年4月10日、27歳の誕生日を迎えた。

   12年10月のプロデビュー以来、無敗のままライトフライ級、スーパーフライ級、バンタム級と、世界3階級を制覇。自身が公言する35歳での引退まであと8年。世界の「モンスター」はどこまで進化するのか。井上の強さに迫ってみた。

  • 井上尚弥
    井上尚弥
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昨年のドネア戦の左ボディーが井上の真骨頂

   井上のボクシングキャリアを改めて振り返ってみると、アマチュアで7冠を達成し、通算成績は75勝(48KO・RSC)6敗。プロでは19勝(16KO)無敗と、ほぼ完ぺきなレコードを残している。アマ、プロ通じて際立つのがKO率の高さだ。軽量級離れしたパンチ力が、そのまま数字に表れている。

   ボクシングはパンチ力のある選手が優位となるが、必ずしもパンチ力がKOに結びつかない。KOを演出するには、パンチを出すタイミング、角度、スピードなど様々な要素が求められる。井上の場合、けた外れのパンチ力に加え、KOに必要とされるこれらのテクニックが備えられ、体のバランスも良くスムーズにコンビネーションが出るのが特徴だ。

   海外メディアから称賛の嵐となった昨年11月のノニト・ドネア(フィリピン)戦は記憶に新しい。勝負は判定までもつれ込んだが、11回にドネアからダウンを奪ったシーンは井上の真骨頂といえるだろう。右アッパーは空を切るも体はブレず、腰の入った左ボディーを叩き込んだ。回転の速さと瞬時の判断力。いずれも世界最高峰のものだった。

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