企業がCMを自粛する際、その「穴埋め」として放送されることが多い「ACジャパン」(以下、AC)のテレビCMが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けて放送回数を増やしている。
中でも「耳に残る」「かわいい」と注目を集めているのが、猫の適正飼育を呼びかける「にゃんぱく宣言」だ。
3月末に放送ラッシュ起こる
CMは「にゃんぱく宣言!」というタイトルコールの後、歌手・さだまさしさんが歌うCMソングが流れる。歌は同氏の代表曲「関白宣言」を意識させるようなフォークソングで、実際の猫の映像とともに「家の外に出してはいけない」「飼えない数を飼ってはいけない」と呼びかけている。
CMは19年7月1日から放送が始まった。J-CASTニュースの4月8日の取材に対し、ACの広報担当者は『適正飼育の大切さを伝えるいい内容だ』という声を頂いている」と語る。またCM総合研究所が1都6県在住の3000人を対象に行った20年3月度の「CM好感度調査」によれば、「にゃんぱく宣言」は「小学生男子や40代の男女などから好感を集めている」とのことだった。
ツイッターでも近頃「なんだか耳に残る」「かわいいから好き」とCMを支持する声が広がっているが、要因の一つに考えられるのが「放送回数の増加」だ。
CM総合研究所が在京民放5局を対象に行ったCMの放送回数調査(4月5日現在)によれば、ACのCMは政府による小・中・高への一斉休校要請、北海道で緊急事態宣言が出た2月末頃から放送回数が急増。4月1日には111回、4月2日には今年最多の118回を記録した。
20年に入ってから1日の放送回数が0回という日も頻繁にあった「にゃんぱく宣言」も、ACのCM増加に伴い2月末以降は最低でも1日3回は放送されるように。3月26日〜29日にかけては4日連続で放送回数が10回を突破し、東京都などで外出自粛要請が出された3月29日は今年最多の15回を数えた。
「第2のポポポポーンになりそう」
「にゃんぱく宣言」を過去のACのCMと比較する声もある。10年7月〜11年6月にかけて放送された「あいさつの魔法。」だ。
同CMは男の子が挨拶をするたびに「ありがとウサギ」「こんばんワニ」などのキャラクターたちが登場し、友達が増えていくというストーリー。CMは11年3月11日の東日本大震災の発生で企業によるCM放送が自粛となった際に、その穴埋めとして頻繁に放送された。CM中に登場するワード「ポポポポーン」は2011年の「ネット流行語大賞」で金賞を受賞するなど反響を呼んだ。
今回の「コロナショック」では震災時と違い、民間企業のCMも比較的放送されている。ただ、ACのCMを見る機会が相対的に増えたこと、中でも「にゃんぱく宣言」のインパクトが強いこともあり、ツイッター上では、
「震災の時がポポポポーンなら、今回はにゃんぱく宣言だな」
「第2のポポポポーンになりそう」
など、作品の「人気定着」を予想する声が聞かれている。