病院では現金払いも厳禁
筆者は常備薬の糖尿病の薬を4月8日、中関村にある病院へもらいに行ったが、出入り口ではいつもより厳しくチェックされた。体温を測ってから質問された。
「いままでの14日間に北京から出たことがありますか」
「海外へは出ていませんか」
携帯電話の番号、身分証明書の番号、問診の事前予約の有無、問診の担当医などを全部調べてられてからやっと病院の中に入れた。
医者は全員個室におり、いつもの助手、看護婦はおらず、机から2メートル離れたところに小さな腰かけがあり、座ってからマスクをしたまま問診が始まる。医者の声は小さい。
隣では「もう少し大きな声でお話しいただけますか」と言っているのが聞こえ、老人が何度も医者の話を聞き取れず、問診がうまくいっていないようだった。看護婦がやってきて2メートルではなく1メートル先で大きな声で医者の話を繰り返して、その老人はやっとわかったようだ。
筆者は大きな声で名前を報告し、ほしい薬を言うと、「あなた、声を小さくしなさい」と若い医者に注意された。
また、病院では現金の使用は厳禁だ。現金を通して感染する可能性を疑っているからだ。携帯電話を持たない50歳か60歳ぐらいの人は、現金を看護婦に渡して、看護婦の携帯電話から費用を支払う徹底ぶりだ。
武漢のロックダウンは終わったが、北京はこれからも緊急事態が続くだろう。報じられている緊急事態宣言下の東京を始めとする日本の状況は、北京に比べると、まだ生ぬるいと感じるのは筆者だけだろうか。
(在北京ジャーナリスト 陳言)