団地の中に入れない宅急便
一方、武漢以外の都市では閉鎖などは宣言していないが、事実上の緊急事態宣言状態となった。
1月25日の春節の時点では、北京はまだ普通の暮らしが続いていたが、団地は出入り口を一つだけにし、農村では壁のないところも急遽柵で囲み、出入り口を一つに絞った。
その後、団地の出入りに証明書の提示が必要になり、さらに体温を測るようになり、宅急便もフードデリバリーも団地に入ってはいけなくなった。一時的な措置だろうと思っていたが、4月8日に武漢の都市閉鎖が解かれても、北京では何も規制を緩和していない。
通勤では公共交通機関が使え、マイカーも市内のどこにも行けるが、勤め先に入るには体温チェックがあり、勤め先以外のビルに入るには事前申請が必要だ。
海外に出るのは自由だが、外国からの入国者は全員14日間、指定のホテルで自費で隔離される。これは海外だけでなく、中国の地方から北京の自宅に戻る人も14日間隔離される。春節期間中の営業停止のレストランなども営業を再開していない。
北京のすべての団地の外には、朝10時ごろとなると、宅急便の三輪車がずらりと並ぶ。午後3時ごろからまたもう一回出てくる。団地に入れてもらえないため、三輪車の若い男性は宅急便などを下ろして、団地内の住民に電話をかけ、取りに来てもらう。
客の許可を得て、団地が用意した棚に荷物を置く場合もあるが、紛失の恐れがあり、多くの宅急便企業はなかなかそのような方式を取らない。
店内での営業ができない料理店は、料理だけ作り、デリバリーを専門の業者にやってもらう。そのデリバリーの業者は、ほとんど電気オートバイで配達しているが「、テレワークが進んだことで、四六時中の注文が入って忙しくなり、運転手たちはいつも眠そうな顔をしている。