プロ野球の阪神は2020年4月8日、新型コロナウイルスに感染して入院していた長坂拳弥捕手(25)が同日に退院したことを発表した。ウイルスに感染した藤浪晋太郎投手(25)、伊藤隼太外野手(30)はすでに退院しており、これで入院していた3選手全員が退院した。チームの活動再開に関しては今後の状況を見極めながら検討していく。
食事会参加の正確な人数はいまだ...
ウイルスに感染した3選手が入院したのは3月27日。伊藤は4月5日に、藤浪は7日に退院した。伊藤が8日に退院したことで、3選手全員が退院となったが、これで全てが解決したわけではない。現役選手がウイルスに感染した事実は、プロ野球選手としての自覚、球団の危機管理などの「欠如」が浮き彫りになった。
今回のコロナ問題に関して、ウイルスの感染が広がるなか、選手の不要不急の外出を止められなかった球団の甘さは指摘されても仕方ないだろう。加えて、感染源と疑われている3選手が参加した3月14日の食事会の詳細はいまだ明らかにされておらず、食事会に参加した正確な人数さえ発表されていない。
食事会を巡る球団の対応に虎党の不信感は募るばかりだ。さらに食事会に参加し、ウイルス感染の症状が見られない4選手についても情報が遮断されており、他球団の不安をあおる形となった。今回の問題に関して、球団、監督、3選手はそれぞれ謝罪の意を表しているものの、一部選手の軽率ともとれる行動が球界に与えた影響は計り知れない。
「これがもとでのトレードはないでしょう」
選手個人にとっても今後の野球人生を左右しかねない。とくに藤浪はここ数年、首脳陣の期待に応えることができずにいる。昨シーズンの1軍登板はわずか1試合にとどまり、今シーズンは結果を求められるシーズンでもある。藤浪に関しては以前からトレードの噂が絶えず、今回の問題でネット上ではトレードの憶測が飛び交っている。
阪神のOBは「ウイルスに感染したこととトレードは全く別の話。確かに今回の行動はプロ野球選手としての自覚に欠けるが、これがもとでのトレードはないでしょう。プロ野球は実力の世界なので、今シーズン結果を残せなければ『環境を変えた方がいい』という声も出てくると思う。今回の問題で藤浪がチーム内で孤立しなければいいですが、結果を残せるかどうかも心配です」と語った。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、藤浪が復活をアピールするはずの公式戦は、開幕のメドが立っていない。球団が本拠を置く兵庫県は、緊急事態宣言の対象となっており、チームの活動再開は不透明である。ウイルスに感染した3選手全員が退院したとはいえ、選手、球団が失いかけている信用を取り戻すのに時間がかかりそうだ。