「やるのは当たり前。激務だとか言っていられない」
PCR検査については、患者の鼻の奥から検体を採取する作業も、5年前から臨床検査技師の業務になった。機械にかけて検査結果を出すまで、基本はすべて技師がやる作業だ。
まず医療機関で検体を採取して、国立感染症研究所や地方の衛生研究所に持ち込んで検査を行う。現在は、保健所や民間検査機関でも行う方向になっている。
日本臨床衛生検査技師会は4月8日、検査には熟練した技術が必要だとして、担当者がJ-CASTニュースの取材にこう説明した。
「肉眼で画像として見えるように、遺伝子を増幅させるわけですが、検査にふさわしい状態にまでするのは難しい作業ですね。技師は、国に20万人登録して、そのうち8、9万人が働いていますが、1割に当たる9000人ほどが遺伝子の検査ができます。しかし、すぐにできるわけではなく、本来は、時間をかけて熟練しなければいけません」
さらに、臨床検査技師には大きな負担がかかると言う。
「採取した検体20本ほどを1回で検査しますが、4時間ぐらいかかります。それを1日で2、3回やることになれば、長時間労働になるでしょう。また、すでに病院で通常の検査業務をしており、ほかの患者さんのことも考えないといけません。PCR検査には感染リスクもありますので、そこも心配ですね」
ただ、2万件の検査をこなすことについて、こう言う。
「それでも、やるのは当たり前だと考えています。激務だとか、そんなことは言っていられませんよ。長丁場になると思いますので、体調面で心配もあり、技師へのケアも考えていかなければ。早くワクチンや治療体制ができて、元通りの日常を取り戻すことを願っています」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)