プロ野球の開幕が先行き不透明な状態となっている。
日本野球機構(NPB)は2020年4月3日、臨時の12球団代表会議を開催し、当初目指していた24日の公式戦開幕を断念することを決定。新型コロナウイルスの感染拡大が収束する気配が見られないことから、公式戦開幕のメドが立たず、今後の日程に関しては白紙となっている。
NPB「残念ながら事態は楽観できる状況にはありません」
プロ野球の開幕を巡って、この1か月間で状況が目まぐるしく変化している。3月9日に、当初予定していた3月20日の公式戦開幕の延期を決定。3日後の12日に公式戦開幕を4月10日以降に設定することを確認した。しかしウイルスの感染状況は一向に好転せず、3月23日には、4月24日に公式戦開幕を目指すことを決め、4月3日についに4月24日の開幕を断念した。
NPBの斉藤惇コミッショナーは4月3日の会議後のWEB会見で、4月下旬から5月上旬までに公式戦開幕日を決定したいとの意向を示したが、ここから状況はさらに変化している。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相が4月7日に緊急事態宣言を発令。期間は5月6日までの1か月間で、プロ野球の公式戦開幕に大きな影響を与えるとみられる。
NPBは4月7日に公式サイトで「日本野球機構からプロ野球にかかわる皆さまへ」と題した声明を発表した。斉藤惇コミッショナーは声明文の中で現状を「残念ながら事態は楽観できる状況にはありません」とし、疫学の専門家からの厳しい予見を受けた上で公式戦の開幕を再延長することになったと説明している。
無観客開催も選手の長距離移動が大きな課題に
新型コロナウイルスの感染拡大が公式戦開幕を遅らせている最大の要因となるが、現役選手から感染者が出たことも大きい。4月7日の時点でウイルスに感染した阪神の3選手のうち、伊藤隼太外野手(30)と藤浪晋太郎投手(25)が退院した。だが、シーズン中に選手から感染者が出た場合の対応など検討すべき課題が残される。
たとえ無観客で開催したとしても、全ての課題がクリアになるわけではない。シーズン中、選手は長い距離の移動を余儀なくされる。ウイルスの感染が完全に収まるまで長い距離の移動は、危険ともいえる行為で、選手の安全管理上、避けなければならない。そうなると、今後ウイルスの感染状況が好転の兆しを見せても、公式戦開幕はより慎重に検討を重ねる必要があるだろう。
公式戦開幕が6月以降にずれ込めば、レギュラーシーズンの143試合を消化するのは厳しい。現実問題、日程的に試合数の削減は不可避とみられ、交流戦、クライマックスシリーズ(CS)の中止の可能性も出てきた。2020年東京五輪が延期となったことで、スケジュールが空いた7月から8月に試合を振り分ける方向だが、それでも間に合わないほど事態は切迫している。
Jリーグの公式戦再開のメド立たず...
試合が削減されれば、当然のことながら球団の収入は減り、球団経営にも関わってくる。球団の経営面でみれば、早期の公式戦開幕が望まれるが、球団関係者の中からはこんな声も見られる。在京球団の関係者は「試合がなくなることは大打撃となるが、先が見えない状況なので、シーズンが中止になるという最悪のパターンを想定する必要もある」と語った。
サッカーのJリーグはこの日、4月25日以降で開催を予定していた5月27日までのJ1、J2、J3のリーグ戦、ルヴァンカップの開催延期を決定した。今後、公式戦の再開のメドは立っておらず白紙の状態にある。大規模イベントの自粛要請に続いて7都府県の緊急事態宣言が発令され、プロ野球のみならず日本のプロスポーツ界全体が危機にさらされている。