日本医師会は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による医療従事者への風評被害を受けて制作したメッセージ動画を、2020年4月8日に同会の公式サイトで公開した。
風評被害が医療従事者やその周囲にまで及んでいる実態に触れ、「医療機関が本来の役割を果たせなくなることは地域医療に大きな影響を与えることになる」と警鐘を鳴らしている。
合言葉は「うつさない、うつらない」
動画冒頭では、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大がいつ起こってもおかしくない状況の中で、医療従事者は日々の診療・往診だけでなく新型コロナの感染拡大防止に向け「全力で取り組んでいる」と説明している。
その一方で、医療従事者への風評被害が各地で起きていると指摘。具体的には「感染者を診たというだけで『あそこへは行くな』という風評が広まり休診せざるを得なくなった」「感染症患者の対応をしている施設の職員というだけで接触を拒まれた」というエピソードを挙げ、風評により定期的に通院が必要な患者でさえも病院・診療所に行くのを控えてしまう例もあるとした。
また、「クラスター的に陽性患者が発生した施設の従業員の子どもに対する学校でのイジメ」「感染患者の健康管理や搬送に携わった医師や看護師に対する職場でのイジメや、子どもに対する保育園などからの登校拒否」など、風評被害が医師や看護師の家族にまで及ぶケースも紹介している。
こうした実態を受け、
「風評被害によって医療従事者が不要なストレスに悩まされたり、医療機関が本来の役割を果たせなくなることは地域医療に大きな影響を与えることになる」
と警鐘を鳴らしている。
動画の最後には同会の横倉義武会長が登場し、
「今、現場の医師をはじめ医療従事者は新型コロナウイルス感染症だけではなく、様々な疾病から地域の皆様を守るために懸命に努力をしています。そのことをぜひご理解いただき、『うつさない、うつらない』を合言葉に、一緒にこの難局に立ち向かっていきましょう」
と呼びかけた。