厚労省「矛盾はない」
こうした反応が出た背景の一つで、先に触れた日刊薬業も取り上げた政府答弁書(3月17日決定)は、青山大人・衆院議員(国民民主党)の質問主意書に答えたものだ。アビガンの備蓄量について、
「新型インフルエンザを対象とした使用方法で換算した場合、現時点で、アビガン錠200ミリグラムを約200万人分備蓄している。また、現時点で、アビガン錠200ミリグラムの備蓄量を増やす予定はない」
としている。
答弁書では「新型インフルエンザを対象とした使用方法で換算した場合」との但し書きがある一方、6日夕の安倍首相の説明では「効果が見込まれる治療薬アビガンを増産し、現在70万人分の国内備蓄を200万人分まで増産させることで、万全の備えを行う」と、特段の前提条件には触れていない。
J-CASTニュースが7日、厚労省に確認すると、答弁書内容と今回の首相説明には矛盾はないとの回答だった。3月答弁書の「200万人分」は「新型インフルエンザを対象とした使用方法で換算した場合」であり、今回の首相説明の方は「新型コロナ感染症を対象とした使用方法で換算した場合」という違いがある。新型コロナ治療用に使うことを想定した場合の方が1人分の量が多くなり、担当者によると「投与期間も(新型インフルの場合より)長い」そうだ。その結果、現在は「(新型コロナ対策としては)70万人分の備蓄」という計算になる。
ツイッター上の反応の中には、こうした厚労省による回答内容と同様の理解を示す冷静な声も見受けられた。
政府は7日夕、「アビガン200万人分備蓄へ」の予算も含む緊急経済対策を臨時閣議で決定した。