観光客に「せめてマスクを着用してください」 竹富島のPOP製作者が込めた思い

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「せめてマスクを着用して下さい」ーー。

   沖縄県の離島「竹富島」を訪れる観光客に向けた、地元住民からのメッセージPOPがSNS上で注目を集めている。J-CASTニュース編集部は2020年4月6日、製作者の竹富島未来づくり実行委員会・市瀬健治さんに思いを聞いた。

  • 竹富島の観光客に向けたメッセージが話題(画像は竹富島未来づくり実行委員会提供)
    竹富島の観光客に向けたメッセージが話題(画像は竹富島未来づくり実行委員会提供)
  • 竹富島の観光客に向けたメッセージが話題(画像は竹富島未来づくり実行委員会提供)

「あまりにマスク無しで観光に来られる方が多いので...」

   竹富島は石垣島からおよそ6キロメートル南にある島。白砂のビーチ「コンドイ浜」や高級リゾートホテル「星のや竹富島」がある観光地として知られる。

   新型コロナウイルスの感染拡大により、東京都などで外出自粛要請が出始めた3月下旬、日本各地で観光客の減少が報じられたが、竹富島や石垣島がある「八重山地方」は違った。竹富島への玄関口となる石垣島の観光客について、石垣市の中山義隆市長は3月31日に「SNS等で『南の島は安全だから』『休校になったのでコロナ避難』など情報が拡散し多くの若者や家族連れが訪れている」とコメントし、混雑ぶりを伝えた。

   普段は竹富島の港の施設で働く市瀬さんも「すごい観光客が訪れていた」と振り返る。しかし、島を訪れる観光客のほとんどがマスクを着けていないことが気になった。

   市瀬さんは注意喚起のため「せめてマスクを着用して下さい」と書かれたPOPを製作し、4月3日から島の港にある施設で掲示を始めた。4月5日には自身が所属し、普段は島の方言などをカレンダーに残す活動をしている「竹富島未来づくり実行委員会」名義でフェイスブックにもPOPの画像を投稿した。

「あまりにマスク無しで観光に来られる方が多いので、心苦しいのですがこのようなメッセージを送らせていただいています」(竹富島未来づくり実行委員会フェイスブックの投稿より)

「『死因はあなたの旅行です』と感じてほしくない」

   4月4日、石垣島と竹富島を結ぶフェリー会社「八重山観光フェリー」のツイッター担当者がPOPの写真をツイッターに投稿した。「竹富島からのお願いです」という一文を添えたツイートには、4月7日16時までに1万リツイートを超える反響が寄せられている。

   POPには、観光客にマスク着用を呼びかける理由が2つ書かれている。

   一つ目は「竹富島はオジーオバー(おじいさん、おばあさん)が非常に多いです」。市瀬さんによれば、竹富島の自治組織「竹富公民館」の館員282人のうち、70歳以上の「敬老員」が103人を占めるという。もう一つは「竹富島は小さな診療所が1つだけしかありません」。医師1人、看護師1人、事務1人の小規模体制の診療所は、市瀬さんいわく「もちろん入院できるようなものではない」という。

   住民の高齢化と、充実しているとは言えない島の医療を背景に、

「医師が一人感染したら、島の医療は崩壊してしまう。竹富が好きで、時間とお金をかけて来てくれる人たちに、オジー、オバーが(新型コロナで)亡くなったとき『死因はあなたの旅行です』と感じてほしくないんです」

   と、市瀬さんは語気を強める。

   石垣市は4月6日、緊急事態宣言下での来島を自粛するよう強く求めた。地元紙・琉球新報の同日の報道によれば、この「来島自粛」は竹富町、与那国町を含む「八重山3市町の総意」だといい、市瀬さんも竹富島への来島を「自粛してもらうのが一番いい」と語る。

「お客さんに気持ちよく来てもらいたいんですよね。また来てもらった時に、マスクをつけずに笑って『いらっしゃいませ』『お帰りなさい』と言いたい。そのためにも今はお互いに自粛、我慢をする。そうしてコロナが落ち着くのを待つのがベストなのかなと思っています」

(J-CASTニュース編集部 佐藤庄之介)

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