総理を演者として前に出して...
「今の政府の情報発信能力は平時に支持率を維持するためには機能していると思うが、新型コロナウイルス対応にはマッチしていない。見せ方、インパクトにこだわりすぎている」
元厚生労働省の千正康裕氏は取材に対し、これまでの国の発信の問題をこう指摘する。千正氏は01年~19年9月まで厚労省に在職し、年金、雇用、医療など8つの法改正に関わった。
突然の一斉休校発表やマスク配布など「総理を演者として前に出して派手さやカッコよさを意識した」発信が目立つというも、いまのような緊急時には真摯(しんし)さや信頼感につながる内容が求められるという。
千正氏はお手本として、京都大の山中伸弥教授を挙げる。新型コロナの感染拡大を受けて個人サイトを開設し、「皆様の判断や行動基準として少しでも役立つことを願って」連日のように情報を伝えている。