GPIF、外債比率を引き上げ 朝日が示した「懸念」と読売が書いた「期待感」

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為替リスクとリスク分散

   今回の改定は、円安要因になる一方、為替リスクが高まるという問題も抱える。株式の比率引き上げ同様、資金量が巨額に上るだけに、それ自体が市場(株価や為替レート)に影響を与える可能性があり、株高や円安という目先のプラスになりうる一方、市場が逆回転を始めたら、大きな傷を負いかねない危険性もはらむ。より高利回りを得たい一方、リスクはどこまで許容するかという、投資の永遠のテーマである。

   この点をどうバランスするかということだが、新聞の論調も、微妙にニュアンスが分かれた。主要紙は、資産構成の変更の発表(3月31日)の前後を中心に一斉に報じた。その中で、例えば日経は事前報道で「円安要因の可能性」(3月25日朝刊)との記事で、「運用資産の一部が外債投資に向かえば為替相場の円安要因となる」と書き、また、発表後の4月1日朝刊では「海外運用に傾斜/為替リスク高まる」との見出しを掲げ、海外資産が最大63%になる可能性も指摘し、「為替変動による短期的な資産変動は大きくなり、海外リスクが高まる」とくぎを刺した。

   朝日も、1日の朝刊で、「米国債などの金利はプラス圏で推移しているための判断だろう。ただ、外国債券は為替リスクもあり、信用力の低い外国債はデフォルト(債務不履行)のリスクもあることに注意が必要」とのアナリストのコメントを掲載して、懸念を示した。

   これらと趣を異にしたのが読売で、やはり1日朝刊で「市場安定の期待高まる/円安・ドル高要因に」との見出しで、リスクが高い外国債への傾斜には懸念も示しつつ、「GPIFの巨額投資による市場安定化への期待が強まる」とし、内外株・債券25%ずつとしたことを「長期投資のリスクがより分散でき、非常にバランスがいい」との証券のストラテジストのコメントを紹介するなど、概して肯定的な書きぶりが目立った。

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