医療崩壊を防ぐ「療養プラン」は... 「医療的緊急事態宣言」都医師会が独自発表

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   新型コロナウイルスの患者がこれ以上増えると医療現場が持たないとして、東京都医師会が独自に「医療的緊急事態宣言」を出し、事態に対処するための具体的プランを会見で明らかにした。

   大きく、3つの柱があるようだ。その内容とは何か――。

  • 会見する東京都医師会の尾崎治夫会長
    会見する東京都医師会の尾崎治夫会長
  • 会見する東京都医師会の尾崎治夫会長

「国は思考停止。都道府県が主体で頑張ることが大切」

「都道府県が主体で頑張ることが大切です。国は思考停止に陥っています」

   東京都医師会の尾崎治夫会長は、自らのフェイスブックで2020年4月5日、緊急事態宣言は国を当てにせず各都道府県が独自に出せばいいとのコメント書き込みに賛同して、こう指摘した。

   尾崎会長はこの日、都民に外出自粛を説いて大きな反響を集めた3月26日の投稿に続き、第2弾としての都民へお願いを自らのフェイスブックで行った。コメント欄には、共感の声とともに様々な意見が書き込まれており、前回と同様に3万件以上もシェアされている。

   今回の投稿では、3月の3連休で見られた気の緩みで1日100人台の感染者が連続したものの、国は緊急事態宣言を出さなかったため、危機感を強めていると明かした。都医師会として独自で緊急事態宣言を6日にも出すとしたうえで、都民に感染ゼロにするための協力を改めて訴えた。

   それによると、もし今から誰も感染しなければ、2週間後には患者は増えなくなり、4週間後には患者が治って、6週間後には街から患者がいなくなる。そこで、「今から6週間、皆さんが誰からもうつされないように頑張れば、東京は大きく変わります」と訴えている。

   政府は6日、都など7都府県で1か月間、私的な権利を一部制限する緊急事態宣言を翌7日に行う方針を明らかにした。

   一方、6日に行われた都医師会の会見では、尾崎会長は、その効果に大いに期待したいとしながらも、「はっきり言って、国の対応は遅かったと思う」とも述べた。

「健康管理は、保健所が行い、医師会が協力する」

   独自の医療的緊急事態宣言で、すべての都民に外出自粛を求めるという踏み込んだ表現を使うとともに、医療崩壊を防ぐための対応策を挙げている。

   担当者が会見で明かしたところでは、対応策には3つの柱がある。

   1つ目は、重症者の治療が余裕を持ってできるように、8割に上る軽症者を7日からホテルに移すことだ。

   軽症でも突然重症化する人もいるため、治りかけている患者を対象にする。健康管理は、保健所が行い、医師会が協力する。医師らは、当初ホテルに詰めて、患者に体温などを自分で測ってもらい、テレビ電話などを使って会話をする。保健所が食事を準備し、弁当を指定場所に置いて取りに来てもらうという。担当者は、7日は100人弱をホテルに移すとし、「軽症者を病院で診ないようにすれば、医療資源は安定する」と述べた。

   2つ目は、医師らが院内感染すると、感染者の数倍の濃厚接触者が出るため、感染者の紛れ込み対策として、患者にしてもらうマスクなどの医療品を都に確保してもらうことにする。院内感染を防ぐためにも、かかりつけ医への電話相談や自治体と医師会が協力して開設する発熱外来で振り分ける体制を作ることも明らかにした。

   3つ目は、都内の感染者用ベッドはほとんど余力がないため、病院のベッドを感染者に譲っていく必要があるが、そのためのベッドの確保を都に働きかけるとしている。

   医療的緊急事態宣言は、こうしたことを期待して出したそうだ。国の緊急事態宣言は、そのための役に立つとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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