コロナショックと原油安で「二極化」進む? 商社が迎える試練

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勝ち組、負け組を分けるのは

   他の大手商社で足元の資源安を受けて業績予想の修正を発表したのは3月27日の三井物産だ。2020年3月期連結決算の純利益は従来、4500億円としているが、「商品市況の下落による影響は精査中」としたうえで、「500億円から700億円程度の損失を認識する可能性がある」とした。具体的には米国シェールガス・オイル事業、イタリア油田事業を中心に固定資産に減損損失が出る見込みという。精査中の段階で自ら情報発信するのは異例であり、「丸紅ほどではない、と言いたいのではないか」との見方が市場にある。

   資源安が商社の業績を下押しするのは間違いないが、会社によって影響には濃淡がありそうだ。

   もともと総合商社は大きく言って、三菱商事、三井物産といった財閥系と伊藤忠商事や丸紅のような関西繊維系に出自が分かれる。財閥系は明治維新以降の政府との結びつきも生かし、海外資源の取り扱いに一日の長がある。現在でも財閥系は液化天然ガス(LNG)や鉄鉱石に強い。

   一方、今や純利益で業界トップをうかがう伊藤忠は、近江商人の初代・伊藤忠兵衛が麻布の商売を始めたのが祖業で、丸紅も源流は同じだ。関西繊維系も戦後、資源の取り扱いを増やしていくが、財閥系の背中はなかなか遠い。そうした中、丸紅は2000年代以降、資源に注力してきたのに対し、伊藤忠は衣料品などの「非資源」を幅広く強化し、業績が資源価格に左右されにくい体質をつくったことで業界トップへの道を開いた。

   すでに2019年4~12月期連結決算において大手7商社のうち、米中貿易摩擦などの影響により三菱商事(15.6%減)、三井物産(4.3%減)、住友商事(12.6%減)、丸紅(33.7%減)、双日(30.2%減)の5社が減益になる一方、伊藤忠(7.3%増)と豊田通商(6.1%増)の2社が増益と、明暗が分かれていた。コロナショックと原油安によってさらに業績の二極化が進む可能性もありそうだ。

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