原油価格の下落、歯止めは...? サウジ・ロシア「減産合意」観測も、コロナショックで需要減

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   急激な原油価格の下落の影響で、米国の主要シェール開発企業の間にも経営破たんする社が出るなか、変化の兆しが出てきた。

   世界最大の石油輸出国サウジアラビアが、ロシアも含む「OPECプラス」と「その他の国」に石油市場安定のために緊急会合を開くことを要請し、トランプ米大統領もサウジとロシアが大幅減産で合意するだろう、との見通しを表明した。減産による原油価格の一定の下支え効果を期待しているようだ。

  • 原油価格の動向に注目が集まる
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減産合意できても「下支え」効果は不透明

   サウジが緊急会合を要請したのは2020年4月2日(現地時間)。ロイター通信などが伝えた。3月上旬に「OPECプラス」の協議が決裂して減産枠組みが失効して以降、サウジはシェア増を狙って大幅増産・備蓄放出を行ない、価格下落が進んでいた。

   原油価格は米原油先物指標「WTI」で2月の価格から半減近くとなり、1バレル20ドル台前半に落ち込む局面もあり、影響は生産コストが高いシェール企業を直撃。4月1日(現地時間)には、中堅ながら米シェール開発主要企業の一角を占めるホワイティング・ペトロリアムが経営破たんした(日本の民事再生法に当たる法適用を申請)。

   3月の協議で減産に応じなかったロシアには、シェール潰しの狙いがあったと目されている。ただ、減産話をまとめようとしていたサウジが一転して大増産に打って出たことで、原油価格下落が大幅に進み、痛手を受けていた。この間、欧米での新型コロナウイルス感染拡大が深刻化し、ロシアでも感染者が増えている。世界経済の冷え込みから原油需要が落ち込み、価格下落に拍車がかかっていた。

   そんな中でのサウジの要請があり、ロイター通信などによると、トランプ大統領も2日(現地時間)、米CNBCテレビのインタビューで、サウジとロシアが日量1000万バレルで近く合意するだろう、との見通しを示した。こうした動きを受け、米ニューヨークの原油先物相場(2日)が上昇する局面もあったが、トランプ大統領が指摘したほどの大幅の減産が成立するかどうかは見通せない。また、仮に合意に至っても、世界経済の落ち込みからくる需要減が大きいため、減産がどこまで価格を下支えできるかも不透明な状況となっている。

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