立憲民主党の枝野幸男代表は2020年4月3日の定例会見で、新型ウイルス感染拡大をめぐる政府の経済対策について、「従来の経済対策の延長線上と言わざるを得ず、今の状況と全くマッチしていない」などと批判した。
経済対策をめぐっては、党内からも現金の一律給付に加えて、消費税率の引き下げを求める声があがっている。枝野氏は現金給付は必要だとする一方で、消費減税については「消費を拡大させるという一般的な経済対策について、今論じている時期ではない」として、現時点では否定的な考えを改めて示した。
「1世帯30万円」は「歓迎すべきこと」だが...
枝野氏は政府の経済対策について、
「今求められているのは、いわゆる景気・経済対策ではない。困窮対策であり、緊急政策支援策、緊急経営維持施策だ。残念ながら政府から伝えられている経済対策は、従来の経済対策の延長線上と言わざるを得ず、今の状況と全くマッチしていない」
などと批判。
対象や額をめぐる議論が続いている現金給付については、安倍晋三首相と自民党の岸田文雄政調会長が4月3日の会談で、所得が減少した世帯を対象に1世帯あたり30万円を給付する方針で一致した。枝野氏はこの点について、
「金額が大きくなるということは、困窮の度が大きな皆さんのことを考えれば歓迎すべきこと」
だと一定の評価をした上で、
「だが、具体的にはいつまでに払えるのか、そしてどういう対象に支払うのか。そして(給付は)『世帯あたり』ということになっているが、単身世帯もいるだろうし、お子さんなどを扶養されている方もいる。収入が大幅に減った、というような要件を厳格に審査しようとすれば、相当な時間がかかることになる」
などとして、「迅速な対応」を改めて求めた。
立憲所属議員ら43人が消費減税求める「提言書」
なお、立憲などでつくる野党統一会派は4月2日、政府・与野党の連絡協議会の会合で、
「すべての国民に対して一人当たり10万円以上、総額十数兆円規模を現金で給付。給付金は課税対象とすることなどにより、実質的に高額所得者への給付金の減額を行う」
ことを求めている。この要望には消費減税は含まれていないが、4月1日には、立憲に所属する議員ら43人が連名で、消費税率を5%以下に引き下げることを政府に申し入れるべきだとする提言書を執行部に提出している。
この点について見解を求められた枝野氏は、
「今、ニューヨークやイタリアとか、大変気の毒な状況になっている。消費を拡大させるという一般的な経済対策について、今論じている時期ではない。まずは医療崩壊はそうした状況を作らない、一人でも亡くなる方を減らす、重症な方を減らすことに今、総力をあげて、その上で、困窮者、事業継続、そのためにやらなければならないことをやる、というのが今の局面だ」
などとして、優先順位は低いとの見方を改めて示した。
政府が1世帯あたり布製マスク2枚を配布する方針を決めたことについては、
「あまりにもレベルが低すぎてコメントするに値しない」
と切り捨てた。
これまで、立憲の定例会見は衆院本館の「第16控室」と呼ばれる場所で開かれてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、さらに広い衆院第2議員会館内の会議室に変更された。いわゆる「3密」を避けるために、窓も開放され、記者も1席ずつ空けて着席するように求められた。リモートワークの記者のために、動画でも生配信された。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)