国税庁「1000人新人研修」に中止求める声 会場の和光市長も懸念するが...「細心の注意払って」続行へ

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   国税庁の新任職員約1000人を対象に埼玉県和光市内で始まった税務研修について、新型コロナウイルス感染を心配する声がツイッターなどで上がっている。

   松本武洋和光市長も、国は責任が取れるのかとただしたことをツイッターで明かした。国税庁は、「厚労省の指導を受けた」と説明し、中止や延期をする予定はないとしている。

  • 和光市長も国の責任をただしたとツイートで報告
    和光市長も国の責任をただしたとツイートで報告
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研修生名乗り「助けて」ツイートも

   「国の研修機関への要望について」。和光市の公式ツイッターは2020年4月2日、こんなタイトルで「感染拡大防止対策を講じるよう強く要望しました」と明かした。多くの研修生が入校する市内の税務大学校に対し、不要不急の外出の禁止や公式サイトでの情報発信などを求めたものだ。

   大学校は9割の研修生が寮に入ることになっており、大卒を対象にした国税専門官基礎研修が3か月間続き、毎日のように教室で講義が行われる。

   市のツイートに反応し、大学校の研修生だとするユーザーが同日、研修を中止にしてほしいとツイッターで訴えた。研修は、不要不急だとして、国が内部の事情から研修を強行していると批判した。

   続くツイートでは、研修は感染拡大を促進することにつながるとして、助けてほしいと直接的な呼びかけで投稿の拡散を求めた。ユーザーは、肺炎で入院したことがあり、死にたくないと怯える毎日だという。

   この投稿は、大きな反響を呼び、1万件以上もリツイートされている。

   ユーザーへの共感は多く、「人の命を優先するなら時期を遅らせるべきでは」「中止にしてください」「オンラインでできることじゃないですか」といった声が出ていた。

元国税専門官「今年はやめたほうがいいんじゃないかな」

   元国税専門官でフリーライターの小林義崇さんは、研修での感染の恐れにツイッターで触れていたが、ユーザーの投稿を引用して、こうつづった。

「僕が研修所に通っていた頃はインフルが流行っていました。寮生活なんですけど、エアコンから感染が広がっているという噂が立って恐怖だった記憶が...。 研修生にとってもストレスだろうし、今年はやめたほうがいいんじゃないかな」

   和光市の秘書広報課に4月3日、J-CASTニュースが聞いたところでは、松本武洋市長は、税務大学校側の担当者と2日に市役所内で会って、感染対策の要望事項についての文書を手渡した。

   市の公式ツイッターの投稿はそれを受けたもので、松本市長も同日、大学校側から対策についての説明を受けたとツイッターで明かし、「市からは、政府や専門家会議の方針と適合しているのか、研修のやり方そのものを庁とも相談してほしい、クラスターが発生したら責任を取れるのか等々強く申し上げました」と報告した。

   税務大学校の教務課長は3日、取材に対し、新任職員の研修は予定通り続けるとして、こう説明した。

「キャパシティの関係上、大学校しか場所がなかった」

「税務大学校で、チャーター便やクルーズ船の乗客を受け入れたとき、厚労省から感染防止の指導を受けました。また、国立保健医療科学院の福島靖正院長に対策を説明して指導してもらいました。不安がある研修生もいましたので、2月初旬に福島院長が研修生らに講話をして、不安解消にも努めています。そのうえで、クラスターが発生しないよう、細心の注意を払って行っています」

   具体的には、通常、教室で左右1つずつ席を空けていることに加え、前後も1つずつ席を空けるほか、研修生のマスク着用や消毒や換気を徹底するとした。また、教室を通常より多くして、不安がある研修生には、映像をライブ配信して授業を受けてもらうことや、家や寮のパソコンやスマホで簿記の授業を受けられるようにすることも考えているという。

   寮については、クルーズ船乗客を受け入れたときにエアコンなどの備品をすべて消毒し、布団も替えたとした。食堂も、食べる時間をずらして、座る間隔を空ける対策を取るとしている。

   なぜ大規模な研修を行うのかについては、研修生はまだ所属先がなく、キャパシティの関係上、大学校しか場所がなかったからだと説明している。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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