日本は「中国&シンガポール」モデルで対策
現時点で感染は施設内が多く、爆発的に地域内感染が増えている状況ではない。しかし、感染者、孤発例(感染経路が追えない症例)ともに着実に増えており、押谷氏は「ぎりぎりの状態にある」と警戒する。
大規模な地域内流行が起こる条件は、▽クラスターの連鎖発生▽大規模クラスターが生まれ、そこから多くのクラスターに派生――の2点だ。押谷氏は「感染者」「接触者」「感染連鎖」「クラスター連鎖」を制御できれば防げるといい、具体的には以下の状況を作るのが望ましいとする。
・感染者:入院措置もしくはそれに準ずる措置
・接触者:14日間健康監視の徹底
・感染連鎖:医療機関・高齢者施設での積極的疫学調査
・クラスター連鎖:感染源の大半が追えて周囲にクラスター形成がない状況
クラスター対策班としては、都市封鎖と外出禁止令でウイルスをほぼ完全に制御した中国と、感染連鎖をほぼ完全に可視化して感染流行の第一波を制御したシンガポールを参考に、日本独自の対策づくりを目指している。
目標を「感染の拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡数を減らすこと」と定め、対策の柱に「クラスターの早期発見・早期対応(断ち切り)」「患者の早期診断、重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保」「市民の行動変容」の3本を掲げる。現時点で「中国での経験からも、接触機会を減らすことで大規模な流行も収束させることが十分に可能」との評価だ。