地域振興券は地方自治体の手間かかりすぎ、定額給付金は額が少なすぎ...
―― 過去には2009年の定額給付金(1人12000円)、1999年の地域振興券(1人20000円)と、現金と商品券の両方を給付した経緯があります。当時の政策をどう評価しますか。
竹内: 地域振興券は面白いアイディアだったんですけどね...。初めての試みということもあり、地方自治体に大変な負荷がかかったんですよ。手間ばかりかかって、地方自治体からは「二度とこんなことやってくれるな」と。もう一つは定額給付金でしょ、この時はまあハッキリ言うと額が小さすぎました。しかも、(給付金のきっかけになったリーマンショックは)金融不安だから、不安が募っているときはますます使わない。僕は金融不安とコロナ不安は違うと思っています。今は身体的な不安だから、いずれワクチンが出れば(需要が)戻ってくることは分かっています。ですが、金融不安や経済不安は底なしで先が見えないので、ますます消費に回りにくい。
―― まず12兆円かけて現金10万円を配り、さらに12兆円かけてプレミアム商品券を発行する。2回目が商品券になるのは「現金だと貯蓄に回って消費されない」という問題が指摘されているからですか。
竹内: そうです。特に高所得者ほど使いますよ。
―― これは、何にでも使える商品券を想定していますか。「和牛券」「水産物券」といった声も聞こえてきますが...。
竹内: 想定しているのは何にでも使える商品券です。スピード感や幅広くお金を動かす、お金を回すということが大事。回すためには力がいりますから、小さな金額では回らない。大きなエネルギーを与えれば回るんです。元々は銀行員だから分かるんですよ(編注:竹内氏は三和銀行(現・三菱UFJ銀行)での勤務経験がある)。
―― 業種別の商品券だと調整が大変そうですが、そうしたものの可能性はいかがですか。
竹内: なくはないでしょうね。業界で特に困っているインバウンド関係など、個別に手当てしたらいいと思います。
―― 「旅行券」をめぐっては、「この時期に何を配っているんだ」という声もあがります。感染が収束後の対策だというメッセージを明確にしないと、世論の反発を生みそうです。
竹内: そうですね。後の段階でしょうね。
―― 公明党の「第4弾」の経済対策では、給付対象は「所得制限なし」とはなりませんでした。「第5弾」に向けて、党内で引き続き働きかけていくわけですね。
竹内: ずっと働きかけてきたんだけどね、やっぱり財務省を含めた抵抗勢力が大きくて...。強いていえば、ドイツでは小規模事業者などに3か月で最大9000ユーロ(約108万円)を補償します。これは小さい企業への資金繰り支援という意味では良い政策で、今回の公明党の提言でも追加的に入れてあります。
―― 首相会見では、イベント自粛で収入が減少した人に対する補償に関する質問も出ました。
竹内: イベントを突然キャンセルしたら、どうしても払わないといけない契約金などあるでしょうからそれをどうするかというのはなかなか難しい話ですよね。固定資産税の減免など、税制でも色々とやろうとしているところです。