現金給付だけだと「結局使わないじゃないか」という批判が...
―― 次が「全ての国民に1人当たり10万円の給付」です。
竹内: 収入が400万の家庭だったら300万くらいの支出があるでしょうから、税率10%で30万円くらいは消費税に使っていることになります。4人家族だとすれば、1人あたり8万円弱。それに多少のお釣りをつけて還元する、というのが一番皆さんの家計を楽にすると考えています。それだけだと「結局使わないじゃないか」という批判があるので、さらに25%のプレミアム付き商品券、つまり40万円で50万円分の商品券が買える制度も導入すべきです。
―― 斉藤鉄夫幹事長は3月27日の会見で、現金給付の範囲について
「本当に困っている人、という対象をいかに特定していくか。(中略)そういう方々に広く行き渡るように、しかしながら、ある意味で安定した収入があって、ある一定以上の安定した収入があって、困っていらっしゃらない方(がいること)も事実。そういう方は、今回は対象外になることもご理解いただいて、幅広くそういう方に行き渡る手法を考えているところ」
などとして一律の給付には否定的です。安倍晋三首相も3月28日の会見で
「『国民みんなに給付を行うか』ということだが、リーマンショックの時の経験を鑑みれば、効果等を考えれば、ターゲットをある程度置いて思い切った給付を行っておくべきなんだろうな、と考えている」
と述べています。給付の対象を「全員」にすべき理由をお聞かせ下さい。スピードの問題でしょうか。
竹内: そうです。経済対策はこれだけで終わりませんから、早く出すことが大事です。所得制限をしようと思うと、自治体にお願いして新たにソフトを組まないといけなくなり、その事務費がものすごくかかります。1000億円単位です。1回目は極めて簡単にバーンと出した方がみんなも喜ぶし、経済に対する影響も少なくて済み、資金繰りも助かる、というのが私の持論です。とは言っても財源の問題がありますから、政府としての気持ちはわかるけれども...というところです。
―― 一律の給付だと、高所得者にも給付されることへの問題も指摘されています。
竹内: 感染症は所得の高低にかかわらず平等にかかるので、平等な見舞金的な要素もあります。そういう意味で一気に配ったほうがいい、という考え方です。さらに、世の中にインパクトを与える、お金を回すということを考えれば、所得が少ない人だけに給付するよりも全体に渡したほうが、お金がグルグル回るようになります。
―― 一律給付の場合、来年以降の高所得者に対する税率を高くして実質的に返してもらう、という考え方もありますね。
竹内: 僕は可能だと思うんですけどね。収入が増えた人はそれなりに累進課税を見直すとか、いろいろ手はあると思いますよ。逆に、まず配っておいて、それでも困っているところにはさらに上乗せする、といった手もあるわけですよ。
―― まず一律で渡して、第2弾の給付で調整もできるということですね。
竹内: 第1弾を早く。米国では13万円、シンガポールや香港でも10万円近く配りますからね。総理も「リーマンショック時の経済対策を上回る、かつてない規模の対策」だと言っています。