エイプリルフール「デマ」「炎上」のリスク コロナ禍の今年、注意点は?識者2人に聞く

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   4月1日のエイプリルフール。近年、企業や自治体、個人らが手の込んだ「噓(うそ)」をインターネット上で披露する機会となっている。

   しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で不安が広がる今年は事情が異なる。不安を過度にあおるようなデマや誤情報が拡散し、大きな混乱も予想される。

   発信者、受け手はそれぞれどのような点に注意すべきか。専門家に聞いた。

  • 情報発信はいつも以上に慎重に
    情報発信はいつも以上に慎重に
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拡散しやすい「嘘」は?

「たとえば、(新型コロナの感染で亡くなった)志村けんさんに関連して、芸能人の誰々が志村さんと濃厚接触していてあの人もやばいらしい、といったデマが出てくるかもしれません」

   速報サービスを運営する「Spectee」(東京都千代田)の村上建治郎社長は、2020年のエイプリルフールでは新型コロナウイルス関連のデマが急増すると予想する。

   村上氏は、今年は新型コロナの影響で、企業では自粛が広がると見る。一方、個人では新型コロナ関連で真偽不明の投稿が増え、情報が錯綜するのではと指摘する。

   ネットの炎上対策を指南する「MiTERU」(東京都港区)のおおつねまさふみ代表は、多数の読者が求めているような情報が拡散しやすいといい、(1)海外で行われている補償や現金給付を日本では行われないことを茶化すネタ(2)和牛券をパロディーにしたネタ(3)パチンコ禁止が閣議決定されたとのデマ――などを例にあげた。

炎上、共感の境目は

   エイプリルフールをめぐっては、企業や個人が「炎上」し、謝罪に追い込まれるケースも少なくない。

   昨年のエイプリルフールでは、米マイクロソフトが従業員に「禁止令」を出したと一部で報じられた。クリス・カポセラCMO(最高マーケティング責任者)が「この日に冗談をしようとすることで、得るものよりも失うものの方が大きい」と自粛を求めたという。エイプリルフール企画に対する警戒感の高まりを反映していると言えそうだ。

   おおつね氏は、企業がネタ企画をする場合、

「単純にバカバカしい企画、笑える企画などは共感を得られるでしょうが、企画の準備時期や取材時期のタイムラグは伝わりにくいので、4月時点での社会のムードに合わない海外を絡めた企画、人混みに関連する企画、はしゃいだネタは反感を持たれる可能性があります。また昨今はフェイクニュースが世界的に社会問題化しており、エイプリルフール企画の影響でフェイクニュースがはびこりやすい状況を招いているといえます。企業の情報発信そのものに悪意が無くても、その体裁を真似られることで結果的に悪質行為に加担してしまったという評判につながる危険性もあります」

と警鐘を鳴らす。

   個人の発信においても、次のように注意を促す。

「ネットでは4月1日が過ぎたあとでもエイプリルフールの冗談投稿という前提や文脈が抜け落ちてシェアされ続けることが多く、不正確な情報だけが独り歩きする事例も多々ありました。他愛もない冗談であっても、ネットで長期間の拡散が続くことで内容によっては風評被害につながることも増えています。シェアする時にはエイプリルフールであることが伝わるように拡散する必要があります」

デマに巻き込まれないための5つの自衛策

   もしも炎上してしまったら、どう対応すべきか。

「発信したエイプリルフール企画に悪意が無いことや深い考えが無いことをアピールするのは逆効果です。ネット炎上の対応においては悪気がないという発言は単なる言い逃れや取り繕いにしか見えません。思慮不足、知識不足を反省して、(受け手の)がっかり感や怒り、被害の回復に全力を尽くすことを約束することが最善です」(おおつね氏)

   一方、デマを鵜呑(うの)みにしたり拡散したりしないために、受け手側が気を付けるべき点は?

   前述の村上氏は、(1)人づての話は勇気をもって疑う(2)常に政府機関・自治体などの公式情報を確認する(3)ネットメディアやブログなどの情報はアクセス数を稼ぐために、不確かなもの、センセーショナルに書かれているものも多く存在する。本当に事実確認されているか、科学的検証がされているかを冷静に見るようにする(4)少しでも疑念をもったり、自分で判断できない情報はシェア(リツイートなど)しない(5)情報をシェアすることは、善意であっても自らが情報の拡散に加担しているということを認識する――の5点をあげた。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

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