小池百合子東京都知事が都内のバーやクラブ、ライブハウスなどに行くことを自粛するよう会見で求めたことを受け、臨時休業するとツイッターなどで明かす店が続出している。
一方で、補償とセットでないことなどを不満に営業を継続する店も多く、考え方によって対応が分かれているようだ。
「補償とセットでない」とバーなどから不満続々
「バーと名指しで言う以上、自粛と補償はセットでないと。休業しろと言われた方が楽ですよ」。こう話すのは、東京・新橋にあるバーの店長だ。
「小池さんは、行政の支援や対策のことにも触れていたが、今すぐでないと対応が遅すぎます。いつも15席が満席となりますが、今は1日2、3人が平均で、今後ゼロにもなりますよ」
店長は、感染のリスクを感じており、家族にうつすかもしれないと漏らす。しかし、今は、通勤の満員電車やパチンコ店より密集していないとして、営業を継続する考えだ。
小池知事が2020年3月30日夜の会見で、新型コロナウイルスへの感染が多発しているとして、バーなどへ行かないよう都民に要請してから、ツイッターなどで窮状を訴える店が相次いでいる。
補償とセットでないことに不満を漏らすツイートも多く、中には、要請に反発して、コロナショックを吹き飛ばそうとわざわざイベントを行うとしたバーもあった。
やはり名指しを受けたライブハウスなどでも状況は同じで、ネット上では、出演者らが発起人になった署名活動も始まった。
DJ NOBUさんらでつくる「#SaveOurSpace」が呼びかける「新型コロナウイルス感染拡大防止のための文化施設閉鎖に向けた助成金交付案」だ。
「補償していただきたいけれど...難しいでしょうね」
この署名活動では、クラブやライブハウスなどは、イベントや外出の自粛要請で経営の危機に瀕しているとして、営業をストップするためにも、施設の維持費、従業員の給与なども含めた政府の助成を求めている。
賛同人には、ミュージシャンの坂本龍一さん(68)、女優の水原希子さん(29)らも名を連ねており、3月31日までに30万件超の署名が集まったという。ラッパーのZeebraさん(48)はこの日、知事発言に一定の業種への忖度があるのは納得できないとして、署名に参加したとツイッターで明かした。
一方で、知事発言を受けて、臨時休業をすると明かす店のツイートも相次いでいる。
小池知事が自粛を要請した4月12日までの期間とする店も多く、「大切なお客様から一人の感染者も出したくなく、苦汁の決断を致しました」などと説明していた。とはいえ、「この決断でお店を潰してしまうかもしれません。先が全く見えません」と苦しい胸の内を明かす店もあった。
また、営業を続ける店でも、都民はみな苦しい状況であることから、補償に頼らずに自力で打開していこうという動きも見られる。
東京・高円寺のあるバーは、取材にこう漏らした。
「補償していただきたいけれど、飲食店はいっぱいありますので、難しいでしょうね。自粛要請で来店者がこのまま減っていけば、5月にも閉店になるでしょう。この状況で飲みに来てと無責任なことは言えませんが、店を閉じることにならないように、自分でできることはやっていきたいと思っています」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)