落語家でタレントの桂米助(ヨネスケ)さん(71)が2020年3月30日、「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)に生出演した際、ひどく咳き込んでいたとするツイッター上の書き込みが拡散され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を疑う向きまで出た。
だが、所属する公益社団法人落語芸術協会は取材に対し、ヨネスケさんの体調について「今のところ問題ございません」と変わりがないことを明かし、新型コロナウイルス感染症にみられる症状も「特にないみたいです」とした。
この日の「グッディ」の放送を確認すると、そもそもヨネスケさんが明らかに咳き込む場面は見当たらなかった。ツイッターでも「ヨネスケ咳してませんよね?」と指摘する投稿がある。
「グッディ見てたけどヨネスケさん咳なんかしてないよ」
新型コロナウイルス感染による肺炎のため29日、お笑いタレントの志村けんさんが70歳で亡くなったことを受け、10年来の友人である米助さんが30日の「グッディ」に生出演した。
ツイッターにはこの日、「グッディではヨネスケさんが咳き込んでいました」「ヨネスケさんの番組の中での咳...」などとする書き込みが散見された。「その咳、コロナ感染じゃないよね!?」と新型コロナウイルスと結びつける投稿もある。志村さんの名前を出しながら、ヨネスケさんについて「『先日の誕生日会もご一緒した』って話してるんですが、VTR中からヨネスケが尋常じゃない咳をずっとしていて、スタジオ中ずっと変な空気流れてる」とした投稿もあり、1万5000回以上リツイートされている。
31日時点でツイッターの検索窓に「ヨネスケ」と入力すると、予測で「咳」「せき」のワードが出てくる。ネット上には「ヨネスケの咳はコロナ?」などと根拠なくまとめるウェブサイトも出現している。
このような噂が広まった一方で、次のようにヨネスケさんの咳き込みを否定する視聴者のツイッター投稿も多い。
「グッディ見てたけどヨネスケさん咳なんかしてないよ」
「咳は聞こえないみたいですが」
「咳なんかしてねーぞ、いま全部見たけど」
「ヨネスケたいして咳してないじゃん 誰だ大げさに言ってる奴は!?」
編集部で30日の放送を確認すると、2時間ほどの出演中、ヨネスケさんが画面に映りながら咳き込む様子は確認できなかった。生前の志村さんの様子を何度も話していたヨネスケさんだが、話している最中も咳などはしていない。
画面外からゴホンと咳払いのような声が聞こえる場面は2~3回あった。だがスタジオには専門家、コメンテーター、キャスター陣など少なくとも8人がおり、誰のものか判別できない。少なくともヨネスケさんが「尋常じゃない咳」をしている様子は見受けられなかった。
「新型コロナウイルス感染の症状も特にないみたいです」
ヨネスケさんは翌31日の「とくダネ!」(フジテレビ系)にも生出演。1時間15分ほどスタジオにいたが、やはり咳き込む場面は確認できなかった。
そもそも志村さんの誕生日は2月20日で、古希の誕生日会が開かれたのは2月22日だったことを、ヨネスケさんは前出の「グッディ」で参加した事実とともに明かしている。その時の志村さんについては「(普段と)全然変わらない」と語っており「まさかこういう形でね...」と肩を落とした。参加者の1人であるタレント・中山秀征さん(52)も2月22日、インスタグラムに「志村師匠誕生日パーティー」として笑顔の集合写真をアップしていた。
志村さんの所属事務所は3月25日、新型コロナウイルス感染の経過を公表している。それによると発症は3月17日で、入院は20日。誕生日会は3週間以上も前のことになる。17~20日の間、志村さんは自宅静養を続けており、濃厚接触者の特定も発表時点で完了。対象者は自宅待機中としていた。
J-CASTニュースは31日、ヨネスケさんが所属する落語芸術協会に、ヨネスケさんの体調に変わりはないか、咳や発熱など新型コロナウイルス感染症にみられる症状はないか、について質問した。事務局担当者は、
「米助の体調についてですが今のところ問題ございません。新型コロナウイルス感染の症状も特にないみたいです」
と体調不良説を否定した。なお前出「グッディ」出演中、画面外から聞こえた咳き込む声については誰のものか判断できないとした。
ヨネスケさんが激しく咳き込んでいたという噂は、万単位で拡散されたツイッターの投稿などに尾ひれがついて独り歩きしたものとみられる。ツイッター上では「ヨネスケ番組で異常な咳!コロナ?とか書いてるネット記事は全部フェイクニュース」と情報の取捨選択を呼びかける声もある。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)