テレビの出演者ら同士の距離が、これまでより広めに設定され始めた。NHKのニュース番組や民放情報番組では、新型コロナウイルスの感染予防の一環として「一定の距離をとることが大切だ」などと説明している。
実際、出演者同士の距離は画面上の見た目では、どの程度離れたのか。対策前後の放送画面について、J-CASTニュースが一部の番組を見比べてみた。「一定の距離」とはいっても、具体的な距離は様々のようだ。
腕1.5本分程度の距離に
「いつもより距離をとってお伝えしていきます」
2020年3月31日、NHK「おはよう日本」の朝7時台ニュースの冒頭、桑子真帆アナがこう説明すると、画面向かって右手の高瀬耕造アナも
「さらに昨日より離れましたね」
と応じた。「昨日」の30日(月曜)は桑子アナが夜の「ニュースウオッチ9」から「お引越し」してきた初日で、番組最終盤の朝8時前、高瀬アナが
「今朝は、感染を防ぐために一定の距離が大事だ、ということでちょっと離れてお伝えしてきました」
と説明していた。東京都の小池百合子知事が25日の会見で外出自粛要請を求めた「週末」が明けてからの新対応だ。「先週」までの距離との違いについて、画面上でJ-CASTニュース編集部がざっくり目測で確認してみた(27日、30日、31日分)。
両アナの距離を比較した場面は、番組冒頭のあいさつ部分と、番組の最終盤トーク部分。
冒頭場面:(27日)片方(1人)が肘を少し張ると届きそうな距離、(30日)手を伸ばせば相手の肩に届きそうな距離、(31日)片方が手を真横に伸ばしても届かず、腕1.5本分程度の距離。
最終盤トーク場面:(27日)片方が手を腰に当てる程肘を張れば届きそうな距離、(30日)桑子アナが両腕を左右に斜め45度程度に広げても届かず、やや余裕がある距離、(31日)片方が手を真横に伸ばしても届かず、腕1.5本分程度の距離。
こうして比較すると、確かに先週金曜から月、火曜と2人が互いにとっている距離は広くなっているようだ。NHKでは朝の情報番組「あさイチ」や夜の「ニュースウオッチ9」などでも「互いの距離をこれまでより広め」にする措置をとっている。
「手を真横に延ばしても届かない距離」「相手の肩に届く程度」...
こうした動きは民放にも。30日放送の情報番組をいくつか確認すると、「羽鳥慎一 モーニングショー」(テレビ朝日系)の冒頭付近で、羽鳥アナが「(コメンテーター)お三方、ちょっと間とってるんですけど」と、3人の座る位置が普段より互いに離れていることを紹介し、「新型コロナウイルスの感染を防止するために一定の距離を保つのが大切ですから、今日から...」と説明した。隣のコメンテーターとの距離は、片方が手を真横に伸ばしても届かず、腕1.5本分程度の距離だった。先週金曜(27日)放送を見ると、手を伸ばせば隣の人の肩を触ることができる程だった。
また「ひるおび!」(TBS系)冒頭あいさつでは、MCでタレントの恵俊彰氏が「今週から我々も人との距離ということを意識して、番組をお伝えすることになりました」と話した。先週27日放送では、隣の出演者とは「脇に垂らした腕の横幅1本分」程度しか離れていない近距離だったが、この日は手を伸ばせば相手の肩を触ることができそうな程度には距離をとっていた。
「人と人との距離」については、最近の国内では、安倍晋三首相の28日会見や小池都知事の25・30日会見などで、「3つの密」(換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、間近で会話や発声をする密接場面)を避けるよう要請を行っており、厚労省などは3条件がそろうと「クラスター(集団)発生のリスクが高い」と指摘している。
また海外では、たとえば「(英政府は)外出の際は、他の人から2メートル以上距離を置く行動を呼びかけてきた」(BBCニュース日本語ウェブ版、3月24日)といった動きや、米ニューヨーク州でもクオモ知事が20日(現地時間)の会見で、「住民には(略)や、他人のいる空間では6フィート(183センチメートル)の距離をとることを強く求めた」(日本経済新聞ウェブ版21日)ことが知られている。