「アリババ」株売却に懸念も
そこでSBGが打ち出したのが資産売却と自社株買いの上積みだ。23日、4.5兆円の資産を売却し、最大2兆円の自社株買い(13日発表の5000億円と合わせ2.5兆円)を発表した。2.5兆円はグループで16兆円(2019年末)に達する債務を減らすなど財務の改善に充てるとした。
この自社株買いは、発表時点でSBGの発行済み株式の45%に相当する巨額のもので、同日発表後に株価は急騰し、前日比500円のストップ高の3187円で引け、翌24日も一時、669円(21%)高の3856円をつけた(終値は3791円)。この日は日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ期待で1万7000円を回復するなど「官製相場」の中とはいえ、市場がSBGの自社株買いを評価したのは明らかだ。
ただ、この後もうひと悶着ある。米格付け会社のムーディーズが25日、株価の連投に水を差すように、SBGの格付けを「Ba1」から「Ba3」に、2段階引き下げたのだ。巨額の資産売却について「資産価値と信用力が悪化する可能性がある」というのが理由だ。
SBGの保有株は27兆円で、中国のネット通販大手「アリババ集団」が約半分、国内通信子会社のソフトバンクが5兆円近くというのが主なところで、特にアリババ株は「SBGの信用力の源泉」(市場筋)。今回の資産売却の具体的中身(銘柄)や時期は明らかでないが、アリババ株も含まれるとみられ、SBGの信用の根幹を脅かすと懸念する声は根強い。アリババ株に限らず、現在の不安定な市場環境の中で、保有株の現金化は安値売却になる恐れもある。