岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
NYで私を待っていたコロナ騒動

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ハグした後、友人は手を洗った

   3月3日、私は友人(60代後半)とカフェで昼食を取った。知識人の彼は日本でのコロナ騒動を耳にしているはずだが、彼はいつものように私をハグしたので、驚いた。が、すぐに「手を洗ってくるね」とトイレへ去った。

   テーブルに戻った彼に「コロナが心配だから?」と聞くと、「僕はいつも手を洗うよ」と答えた。彼とはこれまで何度も外食しているが、その記憶はなかった。

   私に触れたからかどうかはわからないが、コロナが彼の生活習慣を変えているようだ。

   その日は「Super Tuesday(スーパー・チューズデー)」だった。14州で一斉に大統領選挙の予備選が行われ、民主党候補者選びの山場のひとつだ。その時の様子は、この連載の「予備選候補者を巡る民主党支持者の本音」(2020年3月11日配信)で書いた。

   14州で一斉に大統領選挙の予備選が行われ、民主党候補者選びの山場のひとつだ。

   この友人がトランプ氏を毛嫌いしていることは、前から知っていた。

「僕が民主党候補になってほしいのは、撤退しちゃったやつさ」

   初の同性愛者で大統領になれば最年少と期待され健闘していた、ピート・ブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長(38)だ。ジョー・バイデン前副大統領(77)の大勝利を受け、撤退した。友人も同性愛者だ。

「嘘八百のトランプには、我慢がならない。打ち負かせるなら、誰でもいい」

   その頃はトランプ氏再選を予測していた私が、それを伝えると、「ミツヨ、そう思う? ああ」と頭を抱え込んだ。

   彼の職場である私立高校が歩いて数分の距離だったので、彼が校内を案内したいと言い出した。マンハッタンの高級住宅地・アッパーウエストサイドにある、歴史的な建物を校舎とする小規模の高校だった。

   友人は、歴史やアートなどの教室に私を案内し、教諭たちに紹介して回った。

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