トヨタはKDDIの第2位株主
豊田社長の発言からもわかるように、トヨタはこれまでも「血管」である通信事業者を評価していた。というよりも、過去にはNTTのライバルを作るべく、奮闘してきた歴史がある。1980年代中頃、NTTの前身である日本電信電話公社の民営化により、通信事業への民間参入が可能になった。その波に乗って、トヨタなどが立ち上げたのが日本高速通信(TWJ)や、日本移動通信(IDO)だ。これが後に、国際電信電話(KDD)や、京セラ系列の第二電電(DDI)と合流し、KDDIへとつながっていく。現在もトヨタは、京セラ(14.22%)に次ぐ、KDDIの第2位株主(12.67%)となっている(19年3月末時点)。
また、ソフトバンクとのつながりもある。19年1月に合弁会社となった「MONET Technologies(モネ・テクノロジー)」は、ソフトバンク35.2%、トヨタ34.8%(20年3月下旬閲覧時点の公式サイトより)。MaaS(ICTを用いて移動サービスを一元化すること)のデータを活用して、交通空白地や高齢化などの課題解消を目指すもので、今回のNTTとの協業にも重なる部分がありそうだ。
政府はスマートシティを、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、「Society 5.0」(第5の社会)の場として位置づけている。織機を源流として、日本を代表する自動車メーカーになったトヨタが、通信各社とのタッグで「街づくりの会社」になる日が来るかもしれない。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)