NTTドコモ、au(KDDIなど)、ソフトバンクが2020年3月下旬、5G(第5世代移動通信システム)のサービスを相次いで開始した。
3日連続でほぼ横並びのスタートとなったが、現時点で一歩先を行くのは、どの事業者か。各社を比較してみると、まだ本格サービスとは言えない現状が見えてきた。
ドコモ「全国150箇所」、au「15都道府県の一部」
ドコモは、2020年3月25日から、5Gサービスを始めた。スマートフォン7機種からのスタートで、通信速度は当初、下り(受信)3.4Gbps(以下、いずれも最大値)・上り(送信)182Mbpsだが、6月以降は4.1Gbps・480Mbpsになるとしている。エリアは20年3月末に全国150箇所、6月末に全都道府県、21年3月末に全政令指定都市へ広げる計画だ。
大容量プランの「5Gギガホ」は月額7650円で、従来の「ギガホ」から500円アップされた。また契約から最大6カ月間「5Gギガホ割」として月々1000円引きとなる。利用可能なデータ量は100GB(ギガバイト)だが、当面は「データ量無制限キャンペーン」が行われる。なお5G向けプランには「5Gギガライト」(1GB未満2980円〜7GB未満5980円)もあるが、高速通信でのデータ大量消費が前提の5Gとしては、あまり現実的ではないと考え、以降各社は大容量プランに絞って紹介する。
ドコモに1日遅れ、3月26日からauの5Gが始まった。対応スマホは7機種。速度は20年3月末ごろが下り2.8Gbps・上り183Mbps、夏以降提供されるソフトウェアアップデート後は4.1Gbps・481Mbps(サムスン「Galaxy S20+ 5G」の場合)となる。エリアは当初、全国15都道府県の一部から提供。21年3月末に約1万局、22年3月末に2万局超まで拡大しようとしている。
auの大容量プラン「データMAX 5G」は月額8650円。これまでの「auデータMAXプラン Pro」に1000円上乗せした価格設定だ。8月までは加入月から25か月間、毎月1000円引きになる「5Gスタートキャンペーン」が提供される。また、「スマホ応援割II」を適用すると、6か月間1000円が割り引かれる。データ量の上限はないが、テザリングなどの利用は30GB(同プランの場合)に限られる。
ソフトバンクは「7都府県の一部」から
さらに翌日、3月27日には、ソフトバンクの5Gが始まった。当初はスマホ4機種で、速度は下り2.0Gbps、上り103Mbps。サービス開始から4日後、3月31日時点のエリア(予定)は、東京都、千葉県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の一部に限られている。ソフトバンクの特徴は、ほかの2社のように5G専用プランを設けず、従来プランに「5G基本料」1000円を加える点にある。8月までは、加入から2年間の「5G無料キャンペーン」も行われている。
三大キャリアの後を追う楽天モバイルも、6月から自社回線(MNO)での5G開始を計画中だ。3月24日にはNECと共同開発した無線機の量産開始も発表され、準備を着々と進めている。4Gサービスでさえ本格開始前ということもあり、5Gの詳細は未発表だが、4Gはひとつのプラン(Rakuten UN-LIMIT、月々2980円)しか用意していないことを考えると、5Gもわかりやすい形になる可能性は高い。
それぞれを比較してみると、いずれもまだ「オプション」のような位置づけに感じられる。従来の4Gにプラス500〜1000円程度の料金設定で、当初エリアも広いとは言えない。4月8日開始の楽天モバイルMNOは、4G向け「UN-LIMIT」の1年間無料を打ち出し、「正式サービスの実質1年延期なのでは」との指摘も出ているが、各社5Gもまた同様に、当面はベータ版と思った方が良いのかもしれない。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)