リーチサイト規制も盛り込んだ改正著作権法 「海賊版」対策にどこまで活かせるか

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海外捜査当局との連携は...

   日本の著作権法では、自分や家族が楽しむなど限られた範囲で使うためのコピーは、著作権者の承諾なくできるとして、私的複製を広く認めている。ところが、1年前に政府が打ち出した当初案は、個人の趣味や研究、創作など、日常的に行われている活動全般に広く規制の網がかかる内容だったが、「自分限りの資料やメモとして著作物をダウンロードすることは、日常的に行われる。そこに広く違法の網がかかれば、ネット利用の萎縮を招き、知る権利や表現の自由を脅かすとの懸念」(朝日新聞2019年3月16日社説)が各方面から出され、政府は夏の参院選への影響も考慮して改正法案の提出をひとまず断念した。

   11月から文化庁の検討会を設けて議論をスタートし、1月に最終報告が出され、与党の議論を経て法案がまとまった。例えば、検討会では、「権利者の利益を不当に害する場合」だけを違法とするよう絞り込むか、否かについては意見が分かれたが、自民党内の議論で「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く」として、詐欺集団のつくった詐欺マニュアルを被害者救済団体が告発サイトに無断掲載▽ある論文を別の研究者が批判とともにサイトに無断転載▽有名タレントがお勧めイベントを紹介するためにそのポスターを無断転載したSNS――などを規制対象外として例示した。

   ただ、今回の改正だけで海賊版が根絶できるというわけではない。たとえばリーチサイト規制は今回の法改正の大きなポイントで、実効性への期待も高いが、運営側が海外のサーバーを使うなどしているため捜査しにくいといわれ、海外の捜査当局との連携も大きな課題になる。

   折りしも「漫画村」運営者の男(28)の裁判が進行中で、中心メンバーの男(38)に3月18日、東京地裁が懲役1年10カ月執行猶予3年、罰金100万円(求刑懲役3年、罰金300万円)の判決を言い渡した。それでも、出版団体が把握する海賊版サイトは今なお500以上あり、日本からのアクセス数上位10サイトだけで月間利用者は計6500万人になるという。

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