安倍晋三首相は2020年3月28日夕方に記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策について「リーマンショック時の経済対策を上回る、かつてない規模の対策」を策定すると表明した。
財源は20年度当初予算の予備費と、今後編成する20年度の補正予算からあてる。補正予算の編成については「今後、10日程度のうちにとりまとめ、速やかに国会に提出したい」と述べた。中小規模の事業者や個人に対する現金給付にも言及。規模については今後詰めるが、「効果等を考えれば、ターゲットをある程度置いて思い切った給付を行っておくべき」だとして、一律の給付には否定的な見解を示した。
消費減税めぐる質問には「なるべく即効性のあるものがいい」
リーマンショック時の経済対策の事業規模は56兆8000億円で、今回はこれを上回る規模になる見通し。安倍氏は冒頭、
「仕事が減るなどにより収入が減少し、生活に困難をきたす恐れのあるご家庭には返済免除も可能な小口資金支援、税や公共料金の支払いの猶予、などをすでに進めてきたが、これに加えて、思い切った生活のための給付を実施していく」
などと現金給付に言及する一方で、規模や給付の対象に関する質問には、
「『国民みんなに給付を行うか』ということだが、リーマンショックの時の経験を鑑みれば、効果等を考えれば、ターゲットをある程度置いて思い切った給付を行っておくべきなんだろうな、と考えている」
として、対象を絞る考えを明らかにした。消費減税についての質問には、
「私は効果がなければならないと考える。もちろん、それ(消費減税)を主張しておられる方々も『効果』ということをおっしゃっていると思うが、なるべく即効性のあるものがいいと思っている。国民生活をしっかり守り抜いていくために、厳しい状況にある方々に対する現金給付制度の創設を含め、思い切った対策を講じる、そして、大変な影響を受けている、旅行や運輸、外食、イベントにフォーカスして、短期集中で大胆な需要喚起策を講じていきたい」
などと回答。慎重姿勢を示唆する一方で、現金給付の対象を「厳しい状況にある方々」に絞ることを強調した。
イベント自粛要請に応じた人への補償は...?
前回の3月14日の会見に続いて、江川紹子さんや神保哲生さんといった、フリーランスやネットメディアの記者も指名された。江川さんは、イベントの自粛要請で芸術・文化に携わる人々の収入が激減していることを念頭に、
「要請をするときに、必ず補償もしくは助成をするという方針を示すことはできないか」
などと質問。安倍氏は
「いわば損失を補填する形での税金でそれを補償するのはなかなか難しいが、そうではない補償のしかたがないかを考えているところだ」
などと応えた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)