生じる追加費用
電力会社側の言い分としては、テロ対策施設に関する原子力規制委員会の審査が長引き、かつ初めて建設する施設であるためノウハウも乏しい、といったものだ。一方、原子力規制委員会としては、期限を延長しており十分な時間はあったとの姿勢だ。2019年には整備が遅れている電力3社が期限のさらなる延長を原子力規制委員会に打診したが、認められなかった。
20年秋までに原発停止が相次ぐが、九州電力では玄海原発3、4号機(佐賀県)、関西電力では大飯原発3、4号機(福井県)の運転はできるため、エアコンの使用がピークを迎える夏でも電力不足には陥らない見通しだ。しかも、九州では九州電力が電気の買い取りを制限するほど、九電以外が設けた太陽光発電施設が多く存在している。不足する電力は火力発電を動かして対応することになり、関電では高浜3、4号機が停止することで、毎月約90億円の追加費用が生じる。いずれの原発も、テロ対策施設が完成した後には再稼働を予定している。